1958年にスイスの13人の外科医がダボスで改革に乗り出すまで、骨折は引っ張って整復する牽引(けんいん)またはギプス固定で治療されていた。この改革者たちは治療器具やネジ、釘などの標準化や、個々の手術方法が科学的に適切かどうかの検証を行い、外科医研修も開始した。それから現在まで骨折治療研究の中心的役割を担い続けるダボスの研究機関では今、どのような新しい技術が開発されているのか。その最前線を取材した。
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ダボスの「AO財団(AO Foundation)外部リンク」は何十年もの間、骨折治癒の研究分野を先導してきた。AO財団が支援する「ダボスAO研究所(ARI)外部リンク」は、骨折治療について、特に前臨床試験に重点を置く専門研究機関だ。現在は 100人を超える科学者や博士課程の学生が世界中から集まり、骨・椎間板・軟骨の生体力学・生物学的な研究や、外科手術の新しい方法や用具、デバイスなどの開発を行っている。例えば、患者の体内に埋め込み、骨折の回復状態を測定する器具「スマート」インプラントなどがある。
ARIが手掛ける研究の中には、患者の治療に使用する前に、実利用で生じ得る問題を調べるための動物実験が必要なものもある。ARIが最近新しく設置した「SPF(specific-pathogen-free)」羊舎もこの動物実験のためだ。SPFとは特定の病原微生物や寄生虫がいない動物のことであり、SPFの状態を保つために他の普通の羊とは離され、特別に作られた羊舎で飼育管理されている。だが動物実験は少しずつ減らし、最終的には完全に無くす方向に進んでおり、ARIではそのための複数の研究プロジェクトが進められている。
英語からの翻訳:佐藤寛子
「ダボスで科学を探る」全6回は以下からご覧下さい:
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