ベートーベンは交響曲第10番を完成させることなく1827年に亡くなった。それから約2世紀が経った今、スイスでは人工知能(AI)がこの著名作曲家の作品を完成させた。
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9月初旬、スイス西部のネクサス管弦楽団がジュネーブとローザンヌでベートーベンの交響曲第10番を披露した。AIが作り出した前例のない作品だ。このプロジェクトは、指揮者のギヨーム・ベルネ氏とAIエンジニアのフロリアン・コロンボ氏が立ち上げた。7分間の作品は、ベートーベンの弦楽四重奏曲16曲を「消化」して作曲家のスタイルを学習したコンピュータープログラムによって、コンサート当日の朝に「創作」された。ベートーベンが残した交響曲第10番の断片的なスケッチがコンピューターに入力され、アルゴリズムによって未完成の部分の譜面が作られた(本記事の動画は披露前に撮影・放送)。
音楽を作るためにAIに学習させるというアイデア自体は新しいものではない。近年は似たようなプロジェクトがいくつか進められている。例えば中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、2019年にシューベルトの未完成交響曲の完成版を披露した。(RTS/swissinfo.ch/ma)
(本文&字幕の英語からの翻訳・由比かおり)
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