ベンチャー企業などが仮想通貨を売って事業資金を得る手法「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」の勢いはさながらゴールド・ラッシュのようだ。旧来の資金調達方法に比べて規制がなく、スイス企業も先頭に立ってその波に乗る。(SRF/swissinfo.ch)
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厳しく規制された従来型の資金調達の代わりにICOを活用するスタートアップ企業の数はどんどん増えている。ICOは企業が「トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、投資家は一般的にそのトークンをビットコインやイーサリアムなど主な仮想通貨で買い取る。トークンは仮想通貨の中核技術「ブロックチェーン(分散型台帳)」で発行。ブロックチェーンは改ざんの不安がないのが特徴だ。
国際会計事務所のプライスウォーターパークハウス・クーパース(PwC)が昨年9月に公表した調査外部リンクによると、同年に全世界のスタートアップ企業が仮想通貨で調達した資金は総額46億ドル(約5000億円)に上った。前年に比べ20倍以上の規模だ。スイス国内でもいくつかのICOが成立した。PwCによると、金額の上位6件のうち4件がスイスで実施された。
ビットコインの相場は昨年、10倍以上に高騰し、投資家の仮想通貨への注目度を裏付けた。だが仮想通貨は変動が激しく、詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)の格好の餌食になっている面もある。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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