クレディ・スイスの3カ月有給、UBS統合後も取得可能
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スイスの銀行UBSがクレディ・スイス(CS)を救済合併した後も、英国では元CS行員だけが最大3カ月の有給休暇を取得できるという不均衡が生じている。
関係者によると、CSに勤めていた英国人従業員は最長3カ月のサバティカル休暇(使途に制限のない有給休暇)を取得できる。UBSにはない福利厚生だ。
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CSのサバティカル制度では、従業員は5年ごとに追加で休暇を申請できる。関係者によると、1カ月目は給与の全額が、2カ月目は80%、3カ月目は60%が支払われる。
UBSとCSの法的合併は昨年完了したが、英国内の従業員の中にはまだCS時代の契約で雇われている人もいる。そうした従業員はCSの福利厚生を受ける権利があるという。
CSのサバティカル休暇の維持により、3年がかりの統合プロセスのなかでグループ内の従業員が受けられる福利厚生に若干の相違が生じている。
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クレディ・スイスはどこで道を誤ったのか
銀行業界のサバティカル休暇制度は、従業員の燃え尽き症候群を減らし定着率を引き上げるために導入されている。特に従業員のワークライフバランスがより重視された新型コロナ禍で活用された。
だが大手投資銀行の間で福利厚生を縮小する動きが始まっている。米JPモルガン・チェースや英バークレイズなどは最近、オフィス出勤義務の強化を相次ぎ決定した。
UBSは人員削減を進めており、2023年の買収以来1万人が解雇された。
昨年末時点で約10万9000人だった従業員について、経営陣は2026年の統合完了までに8万5000人に減らす目標を掲げている。フィナンシャル・タイムズは以前、人員削減は人員整理と自然減によるものだと報じた。
「文化汚染」
UBSの幹部はかつて、ライバルだったCSがリスクの高い顧客を積極的に受け入れていたことから、CS従業員の統合に懸念を示していた。
UBSのコルム・ケレハー会長は買収後、同行は「『文化汚染』を懸念している。UBSに誰を迎え入れるかについては、非常に高い基準を設けることになるだろう」と述べている。
UBSは「UBSと旧CSの福利厚生制度はいくつかの違いがあるが、どちらも魅力的で市場条件に見合った競争力がある」と述べた。
「UBSとの雇用契約に移れば原則としてUBSの福利厚生が適用される。従業員全員に福利厚生と今後の見通しについて通知する」と付言した。
Copyright The Financial Times Limited 2025
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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