クレディ・スイスに捜査の手
スイスの大手銀行クレディ・スイスの複数のドイツ法人に7月14日、ドイツ検察による捜査の手が入った。捜査の根拠となったのは、盗まれたとされる顧客のデータの入ったCDだ。
今年2月、ドイツのノルドハイム・ヴェストファーレン州がこのCDを250万ユーロ ( 約2億8000万円 ) で買い取ったのが発端で、他州もこれに追従した。CDには脱税者の情報が入っているという。
従業員の脱税ほう助
CDを購入したというニュースだけでドイツでは、脱税を自首する人がうねりのように何千人も現れた。3月にはデュッセルドルフの検察庁は調べたデータをもとに脱税と脱税ほう助の調査を開始した。約150人が調査を担当したとデュッセルドルフ検察は発表している。
「CDの中には、クレディ・スイス (Credit Suisse ) の従業員が脱税ほう助をした証拠もある。そのため、現在捜査している」
と広報担当者ヨハネス・モッケン氏がスイスドイツ語放送 ( DRS ) の取材で認めた。ドイツでプライベートバンキング業務を行うクレディ・スイスの広報担当者、マルク・ドシュ氏はドイツの検察による捜査が入ったことを認め
「クレディ・スイスはドイツ当局と協力している。捜査が続いている限り、これ以上のコメントはできない」
と語った。
捜査の対象となったのはクレディ・スイスの顧客と従業員の両方で、結果が出るのは数週間後だという。
増す圧力
顧客情報の入ったCDはドイツ政府と共同でニーダーザクセン州も購入したことが6月に明らかになった。ドイツ検察は捜査について
「クレディ・スイスはほぼ協力的だが、すべてを信じることはできない。確実な道を選ぶ」
という。捜査の対象となっているのは、ベルリン、ビーレフェルト、ブラウンシュヴァイク、ブレーメン、デュッセルドルフ、フランクフルト、ハンブルク、ハノーバー、ケルン、ニュルンベルク、レーゲンスブルク、シュツットガルト、ミュンヘンの13カ所。
過去1年半、ヨーロッパ諸国ではスイスの銀行に対する風当たりが強くなっている。特にスイスの銀行の守秘義務が脱税の格好の温床になると指摘され問題として挙がっている。このためスイス政府は各国と租税条約の見直しを強いられてきた。これまではUBS銀行がアメリカの顧客の脱税問題で非難されていたが、今回、スイス金融界の双頭の鷲の片方であるクレディ・スイスにも脱税ほう助の疑いがかかった。
swissinfo.ch、外電
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本社チューリヒ
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