ジュネーブモーターショー開幕
欧州3大モーターショーの一つ、ジュネーブモーターショー が8日から開催されている。今年はジュネーブで初めて登場する中国メーカー、ブリリアンス・ジンベイ ( Brilliance JinBei ) が出展し、欧州市場へ乗り込んできたことが話題を呼んだ。
2月、欧州委員会 が二酸化炭素の排出量制限の義務付け方針を示した。今年も昨年に引き続き、各社が環境対策をテーマに独自の技術をアピールしたエコカーの展示が目立った。
中国メーカー、ブリリアンスのフランスでの販売を請け負うアジーオート ( Asie Auto ) 社 によると、2006年中国の新車の売上数は日本を抜き、アメリカに続く第2位となった。欧州では昨年、新車の売り上げが伸び悩んでいたから、格安の中国車の進出は打撃なのではないか。
いよいよ欧州に中国車攻撃か
今回、ジュネーブでブリリアンスが出展したのは3車種のみ。まずは、販売が始まった大型セダン「BS6」。後ろ姿が「マセラティ」を想い起こさせるのはイタリアデザインだからだ。値段は2万ユーロ ( 約300万円) でライバル社の相当する車より20〜25%割安だ。他の2車種は認可を申請中だが、2007年末には販売予定という。
中国車の品質について質問するとアジーオートのエリザベス・ユング社長は「デザインはイタリアのジウジアーロや ピニンファリーナが手掛け、エンジンは三菱、車体はBMWの協力を受けているので高品質」と自信満々だ。また、「欧州市場に出回るのに日本車は20年、韓国車は10年かかったが、中国車は5年で十分だ」と語り、2010年までに7万5000台の販売を目標にしているという。
それぞれの環境対策
環境問題に関心が高い欧州での対策として今年も、それぞれ環境に優しい車の提案が相次いだ。
なかでも、オーダーメイドの車を作るスイスの自動車会社、リンスピードのプラスチックの透明な「エグザシス」がひときわ目立った。社長のフランク・リンデルクネヒト氏は「これは将来の方向性を示すコンセプトカー。軽く、燃費が良い車でどんなものができるかを探った」と語る。
ポリカーボネート透明樹脂を使用した車体は750キロ ( 通常の半分の重さ ) と軽量。燃料には再生可能のバイオエタノールを使用のため二酸化炭素排出量が走行距離1キロにつきわずか20グラム(普通車は190グラムほど)という。
「プリウス」でハイブリッドカーのリーダーとなったトヨタも将来のエコカーのコンセプトとして「ハイブリッドX」を発表。「ハイブリッドカーはバッテリーが場所を取るので快適性において劣るという批判への逆提案です」とトヨタヨーロッパの片岡誠一郎氏。
この他、富士重工が開発した世界初のスバル水平対抗ディーゼルエンジンを披露、フォルクスワーゲンも低燃費車ブルーモーションの新型「パサートブルーモーション」を、ホンダがハイブリッドのスポーツカー「小型ハイブリッドスポーツコンセプト」を発表した。
swissinfo、 屋山明乃(ややま あけの)
第77回ジュネーブモーターショーは3月8日〜18日まで。
ジュネーブモーターショーはパリやフランクフルトに比べると面積では小ぢんまりしているが、グラマラスな未来のコンセプトカーが多いといわれている。
毎年、70万人近くの来訪者を迎えており、40%は外国から。
今年も約80車種近くの欧州初や世界初の乗用車やコンセプトカーが一般公開される。
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