スイス中銀のマルティン・シュレーゲル総裁は、仮想通貨はまだ「ニッチな現象だ」と語った
Keystone-SDA
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。
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シュレーゲル氏はスイスの複合メディアグループTamedia系の新聞に1日掲載されたインタビューで、仮想通貨は「良い通貨が有しているべき」本質的な特徴を満たしていないと述べた。
同氏はまず、仮想通貨の相場が非常に不安定で、SNBの持つ資産を長期的に保全できなくなる点を挙げた。「第2に、SNBの準備金は必要に応じて速やかに金融政策に使えるよう、高い流動性を備えていなければならない」と指摘した。
3つ目に、仮想通貨はセキュリティー上の弱点があるとした。「ソフトウェアにバグやその他の脆弱性がありうることは誰もが知っている」
競争「恐れていない」
シュレーゲル氏は、仮想通貨の提供は中銀の役割ではないとの見解を示した。すべての仮想通貨の時価総額は現在約2兆フラン(約330兆円)と、世界の金融システム全体の中ではまだ規模が小さく、「(仮想通貨は)まだニッチな現象だ」
スイスの通貨フランの番人として、SNBが仮想通貨に競走上の脅威を感じているかと問われると、シュレーゲル氏は「通貨というものは常に互いに競争するものだ」と答えた。フランはかつてなく需要の高い通貨となっており、「仮想通貨との競争は恐れていない」と断言した。
ビットコイン・イニシアチブ
SNBに仮想通貨の保有を義務付ける案(通称「ビットコイン・イニシアチブ」)が昨年12月に提起され、国民投票に向けた署名集めが始まった。スイスには18カ月以内に有権者10万筆の署名を集めることで、市民の提案を国民提案にかけられるイニシアチブ(国民発議)制度がある。
ビットコイン・イニシアチブはスイス・フランス語圏の暗号資産専門家イブ・ベンナイム外部リンク氏が主導。同氏は昨年ドイツ語圏の日刊紙NZZとのインタビューに、イニシアチブの目的は「議論を始めること」だと語っている。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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