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二酸化炭素削減計画 京都議定書の達成危うし

車の排気ガスや暖房が二酸化炭素を排出する。スイスでは特に冬、石油による暖房で二酸化炭素の排気量が増える。 swissinfo.ch

地球の温暖化対策の一環としてスイス、日本、EUなど先進国が締決している京都議定書には、二酸化炭素などの削減目標が掲げられている。しかし、スイスでは、これまでのような自主規制では2010年の期限までに目標は達成できないであろうという調査結果が報告された。

スイスは、1990年の排気量の1割減を2010年までに達成することとなっているが、調査結果を踏まえ、原油輸入者へ課税すべきか、排気ガスを出した人に課税すべきかの2案が討議されることになる。

スイスは他の先進国とならび、1997年12月、京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議において採決された京都議定書に署名した。二酸化炭素(CO2)、メタン、亜酸化窒素など6種類の温室効果ガスの排出量を2010年までに削減をするため、新しく連邦の二酸化炭素排出規制法を作り、CO2の排出量を1990年の1割減にする目標を掲げている。具体的にはガソリンなどは8%、暖房に使う燃料などは15%減らす必要があると算出されている。

自主規制では不十分

 このほど連邦環境局が発表した目標達成予測によると、スイスは目標を達成できないばかりか、過去2年間で目標からさらに遠ざかっている。これまでの自主規制では目標達成は無理という懸念は現実のものとなったという。環境局の経済と環境課課長トマス・シュタルダー氏は、「目標達成には強制的な削減措置が必要」という。

 自主規制だけでは2010年までに達成できるCO2の排気量削減は1990年の3.8%減にしかならない。しかも、京都議定書の目標達成に8%削減が必須のガソリンなど稼動用燃料については、逆に8.8%の増加と算出された。暖房用燃料は11.4%減る見込みだが、15%削減の目標は達成できない。

 目標が達成できない理由として環境局は、経済環境の変化を挙げている。人口の増加や自動車数が増加したことも挙げている。

削減策として2つの案

 削減目標の達成が難しいと判断されたことから、環境・運輸・エネルギー・通信省のモリツ・ロイエンベルガー大臣は、閣僚会議に2つの提案をすることになる。 

 1つは、ドイツ語で「環境ラッペン」と呼ばれる案。ラッペンはスイスの通貨の単位で100ラッペンで1フラン。1リットルのガソリンにつき、1ラッペンから1.5ラッペン(0.85円から1.28円)を石油の輸入業者が払うというもので、年間収入は700万から1000万フラン(5億7400万円から8億2000万円)にのぼると見込まれる。これをカーシェアリングやバイオマスによる燃料の補助金に充てる。保守派政党が支持している。もう1つは、二酸化炭素を排出した人に責任を課す案で、ガソリン1リットルにつき0.2フランから0.3フラン(17円から25円)課税され、11億5,000万フランから17億フラン(1,124億円から1,445億円)の増収となる見込み。左派および環境保護団体の支持を得ている。

 民主主義が徹底するスイスでは、内閣の決定が国民の意思で覆されることもしばしば。どちらの案を選択するかの決定が長引くことも予想される。京都議定書の目標を達成するまでの時間は限られている。いずれがより効果的な案なのか、即断できる能力が国および国民に問われよう。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

CO2排気の原因
交通 31%
住宅 21%
工場 18%
農業 12%
サービス業 11%
ごみ焼却 5%
その他 2%

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