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同性愛者をスイスへ、政府観光局がキャンペーン展開

虹色は多様なセクシャリティーの人たちが共存する象徴の色 swissinfo.ch

「イッツ・オンリー・ナチュラル(自然のままで)——」。このキャッチフレーズで、スイス政府観光局は公式のホームページで同性愛者をターゲットにした観光キャンペーンを展開している。

近年同性愛者の旅行市場は急速に伸びており、米国内だけで毎年541億ドル(約5兆7,000億円)も消費されているとも言われる。スイス当局は、こうした巨大な新市場に注目し、国内のスキー場や高級リゾート地に同性愛者の観光客を呼び込む狙いだ。

観光局のオリバー・ケルストホルト氏は、「ゲイ旅行者は子どもを持たないため家計収入は平均よりも高い」と、同性愛者の懐工合をこう分析する。「学校の休みに左右されることもなく、好きな時に旅行し、やりたいことにどんどんお金を使っていくライフスタイルは魅力的だ」と語る。

「セクシュアリティーは関係ない」

 観光局のサイトにアクセスすると、同姓愛者専用の観光パンフレットが掲載されている。

 パンフレットには、ゲイやレズビアン専用のバーやレストラン、お祭り情報が満載。マッターホルンが見られる山岳リゾートのツェルマットや、保養地としても知られる東スイスのダボスなども紹介されている。

 米国では今年の2月、サンフランシスコ市が同姓カップルに結婚証明書を発行し、議論を巻き起こしたが、実際には「自然のままで」生きようとする同姓愛者の前途は容易ではない。

 スイスに住む同性愛者は今回のキャンペーンをあまり歓迎していないようだ。

 「なんでわざわざ特定の人たちを隔離する必要があるの?」と、ゲイのウルス・ビナーさんは問いかける。ビナーさんはツェルマットでレストランを経営する傍ら、自作のポップソングをお客さんの前でも披露してみせるアーティスト。

 「スキーシーズンにもなれば、レストランは家族連れや中年カップルでごった返すよ。みんなここに来るのは、食事したり僕の歌を聞いたりして楽しい時間を過ごすためであって、僕がゲイであることとは関係ないよ」と話す。

ベルン、斜め目線で奮闘

 ゲイやレズビアン専用のバーやレストランは、チューリヒやジュネーブなど有名都市だけでなく、首都ベルンやスイス中部のルツェルンなど比較的小さな町にもある。

 同姓愛者のコミュ二ティーによると、ベルンには「フラウェンラウム(女性の部屋)」と呼ばれるセンターでレズビアンのためのイベントやパーティーが催されているほか、「クェージヒト(斜め目線)」と名づけられた映画祭もあるという。


 スイス国際放送  デイル・ベヒテル   安達聡子(あだちさとこ)意訳

政府観光局の「イッツ・オンリー・ナチュラル」に含まれているスイスの町:

チューリヒ、ジュネーブ、レマン湖畔周辺、ルツェルン、ベルン、ツェルマット、エンゲルベルク、ダボス

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