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大雨でスイスがこうむった被害は莫大

東インターラーケン駅はすっかり水浸し swissinfo.ch

21日から降った大雨による被害がドイツ語圏を中心に深刻だ。24日朝までに7人が犠牲になり、被害額は20億フラン(約1700億円)にのぼると報告されている。

ルツェルンの名所、カペル橋も水浸しになった。ベルン市内のアーレ川沿いの一角、マッテン区が浸水し、住民は強制的に避難させられた。観光地インターラーケンなどの被害も深刻だ。各地の道路や鉄道路線も不通になり、火曜日には休校する学校も出た。

 21日から23日明朝までの48時間の降水量は連邦気象台の発表によると、マイリンゲン(Meiringen)(ベルン州)で1平方�bにつき205�_�g、エンゲルベルク(Engelberg)(オプワルデン州)で190�_�g、アインジーデルン(Einsiedeln)(シュヴィーツ州)で152�_�gなどとなった。
 ゴッタルド方面の鉄道は、ブルンネン(Brunnen)からエルストフェルト (Erstfeld)、ルツェルン方面の鉄道の各所、ツークから南に下がる路線ではヴァルヒヴィル(Walchwil) からゴルダウ(Goldau)、ブリューニック方面ではヘルギスヴィル(Hergiswil)からインターラーケン(Interlaken)などが不通となっており、迂回措置がとられている。復旧には少なくとも1週間はかかるという。

ヘリコプターでしか行けないグリンデルワルト 

 23日のインターラーケン。大雨の被害により、各地が孤立状態にある。「グリンデルワルトへ行く道は不通。ルッチェン峡谷にかかっている橋も被害にあった。復旧作業には早くとも1週間、いや、1カ月はかかるだろう」と救助隊のヴァルター・ディートリッヒ氏は語った。

 迂回路を作る必要も出てくるかもしれない。グリンデルワルトのほかに孤立しているのは、ラウターブルンネン、ヴェンゲン、ミューレンなど。住民のほか観光客も外に出るためには、ヘリコプター以外の交通手段はない。ディートリッヒ氏によれば、スイス軍のヘリコプターを使いインターラーケンなどに留まっている観光客を救助することも検討されている。

復旧作業

 東インターラーケン駅は鉄道が水に浸り、付近の住居や商店も浸水している。駅の向かいにオフィスのある市の社会保険課のゲラルト・フーラー氏は「オフィスの被害は膨大だ。家具も書類もずぶぬれ」と語った。同課はコンテナに事務所を構え当座をしのぐという。

 市内で家具店を経営するブルノー・フォン・アルメン氏は「このような被害は初めてだ。昨晩だけで水面が90�a上がった。朝、10時半に店に来たら、地下室がひざまで水に浸かった」という。被害は15万から20万フラン(130万円から170万円)と見込む。

 住民は何度も何度も家の浸水をバケツに汲んで外に出す作業を続けている。アンドレアス・ロート氏の地下室は10�aの水浸しになっている。「昨晩は自転車など、まず大事なものを地下から運び出した。洗濯機や乾燥機、それにボイラーなどはまだ地下にある。バケツで水を掻き出して、なるべく被害を少なくしないと」と作業の傍らに語った。

天候次第で仕事は再開

 登山ガイドを務めるハノ・チャボルト氏は、2、3日したら仕事を再開できるという。もちろん、天気が良くなればの話だ。「パラグライダーくらいはできるだろう」と強気。「筏(いかだ)の川下りなどウォータースポーツは危険だし、登山は道が遮断されていてできない」

 自然の力を前にしてにわれわれはまったく無力である。インターラーケンを訪れている観光客は、ごうごうと流れる川の様子や水浸しになった市内の街並みを写真に撮るか、喫茶店などで時間をつぶしている。観光局や駅では情報を知りたい人で長い列ができているものの、旅行を中断しようとする人は少ない様子。ホテルの客室も8割方が埋まっているという。

 米ニュージャージーから来た観光客のアニル・ザパルド氏は「これが人生。何もできないが仕方ない」とあきらめ顔である。

日本人観光客

 チューリヒの観光旅行会社ジャポニカの佐藤仁美社長によると、ベルナー・オーバーラント方面を旅行中の5組の日本人観光グループと個人観光客およそ20人のうち、グリンデルワルトを訪れようとした人たちは、手前のインターラーケンのホテルに留まっているという。そのほかの旅行者のほとんどが、旅行を続けているが、ジュネーブから帰国予定の旅行者の一人は、グリンデルワルトからヘリコプターで脱出を試みているものの順番待ちで、24日現在、まだヘリコプターに乗れないでいるという。

 また、ジュネーブの日本の観光関係者の話によると、ユングフラウヨッホの観光をしていた2人の日本人がホテルまで戻れなくなったという。2人は後にヘリコプターで救助された。観光旅行は予定されたルートを回れないこともあるが、旅行者の希望を取り入れ、代わりにベルン市内の観光をしてもらうなど、個々に対応しているという。

swissinfo、デール・ベヒテル(インターラーケン) 佐藤夕美(さとうゆうみ)

洪水被害者への募金のお願い

 洪水被害者を援助する募金がすでに始まっています。8月31日(水)には全国一斉に募金活動をします。早朝6時から深夜零時まで電話による募金の受付をします。集まった募金は、被害の大きさに比例して、各地に援助金として渡されます。

 募金にはこの日以外でも参加できます。
<郵便支払いの場合>
Postkonto 10-15 000-6
Unwetter Schweiz / Intempéries Suisse
<インターネットの場合>
www.glueckskette.ch (ドイツ語)
www.bonheur.ch (フランス語)

 スイステレビ局(ドイツ語)の番組「Quer」では、26日からすでに電話による募金を開始しました。また、スイステレビ局(イタリア語)でも25日洪水の特集を組みました。

 募金に関するお問い合わせは、電話番号 +41 31 398 41 11までお寄せください。

<募金のお願い>

<郵便支払いの場合>
Postkonto 10-15 000-6
Unwetter Schweiz / Intempéries Suisse

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