繁忙期の夏の間のみスイスで働く外国人労働者の多くは、一時的に帰国している冬の間に、自国で失業手当を受給できる。それは、欧州連合(EU)内の「人の移動の自由」に関する協定に従い、スイスがその費用を負担しているからだ。(SRF/swissinfo.ch)
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スイスは昨年、外国に住む約2万7000人の失業者に対して約2億フラン(約220億円)の失業手当を支払った。その主な支払先は、スイスで働いていた失業者や退職者が住む隣国のフランス、イタリア、ドイツだ。これらEU加盟国出身の外国人労働者は「人の移動の自由」に関する協定の恩恵を受けている。同協定はまた、スイスのEU加盟国に対する資金的な貢献を義務付けるものでもある。この外国人労働者に失業手当を支払うという制度が導入された当初、連邦経済省経済管轄局(SECO)は負担額を完全に低く見積もっていたという。
フラン高が続いた結果、スイスの完全失業率は今日までに5.1%まで増加。過去6年間で最悪の数字だ。国際労働機関(ILO)によると、今日のスイスにおける失業者数は約24万9千人。昨年の同時期よりも3万7千人多い。そのうち15~24歳の青年層と外国人の失業率の増加がとりわけ目立っている。
(英語からの翻訳&編集・説田英香), swisssinfo.ch
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本当に「移民は社会を脅かす」存在なのか
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第2次世界大戦後の経済成長期に労働力不足に悩んだスイスは、1948年にイタリアと二国間協定を締結した。スイスの目的は二つ。不足する労働力を補うためにイタリア人を雇用すると同時に、彼らの定住を防ぐことだった。
季節労働者に対する規定は厳しかった。定められた就労滞在期間は最長で9カ月。その期間中、季節労働者にはスイスの社会保障制度が適用されず、イタリアから家族を呼び寄せることも認められていなかった。また、「ゲストワーカー」として仮設バラックでの暮らしを強いられ、スイス社会の片隅で生活していた。後にはイタリアの他に、スペインやポルトガルからも季節労働者がスイスに来るようになる。
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外国人労働者の受け入れ、「実用主義」の見えるスイス
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外国人労働者数の制限を求めた「大量移民反対イニシアチブ」が国民投票で可決されて2年以上が経過した。労働者の自由な移動を定めた欧州連合(EU)との合意の中で、国民の決定をどう実現するかをめぐりスイスは行き詰まっている。「役に立つ外国人」を「良い外国人」とみなしてきたスイスの、移民政策の歴史を振り返った。
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