未成年の飲酒問題
昨年の法案改正で、今年の2月1日からスイスでは若者に人気の「アルコポップス」に4倍の増税が実地され、アルコール入りカクテルドリンクの値段が上った。
しかし、この値上げが青少年の飲酒を本当に抑制するかどうかには疑問が出されている。
アルコポップス
「アルコポップス」と呼ばれるアルコール入りカクテルドリンクはソーダやジュースと蒸留酒を混ぜたもの。口当たりが甘くて飲みやすく、アルコール分が強い(5〜6%前後)ので若者に人気がある。
世界保健機関(WHO)の調査によるとスイスで販売されている「スミノルフ・アイス」、「バカルディ・ブリザー」、「ヴォッカ・ヒューチ」などのアルコポップス消費者の4人に1人はティーンエイジャー。スイスでのアルコポップス消費に関する調査では2000年には2百万本の販売だったが、2001年には2千8百万本、2002年には4千万本と急激に伸びている。
思い切った値上げ
この事態に政府は若者の飲酒を抑制しようと増税に踏み切った。2月1日からアルコポップの値段は1本0,45フラン(38円)から1,80フラン(約152円)の値上げに、275ミリリットルのボトルでは現行の2,50フラン(約211円)から平均4フラン(約340円)になった。
節酒につながるか?
しかし、この値上げが若者の節酒につながるのだろうか?チューリヒ大学の最近の調査によるとアルコポップスの消費者の50%は値段が上がれば、ビールなど他の安いアルコールを飲むだろうとみている。当社が行ったベルンの街頭インタビューでも多くの若者は「そんなに高くないし、とても美味しいので飲まなくなることはない」とか「お金があまりなくてもやはり買うだろう」などと答えている。
保健省のリリアン・ブルックマン氏は「アルコール入りカクテルドリンクは若い人、特に女性に人気があり、アルコールの苦い味を中性化するのでアルコールを飲みやすくする」といい、増税に賛成の立場だ。ただ、同時にバーやお店で若者がアルコールを買えないように取締りを厳しくすることなどが重要だとみている。
スイス麻薬アルコール防止研究所によるとスイスのティーンエイジャーは男子の40%と女子の26%が週に1度はアルコールを飲むという。この増税が若者の節酒につながるかどうかはまだ不透明だが、政府の国庫にとって5千万フラン(2億円)の増収となるという予測のほうは確実なようだ。
スイス国際放送、カリン・カンプ、 要訳、屋山明乃(ややまあけの)
– スイス保健省によるとアルコール入りカクテルドリンクの消費者の25%は青少年。
– 世論調査によると回答者の60%は「値上げで飲酒習慣を変えない」と答えた。
– スイス政府はアルコール入りカクテルドリンクの増税を導入することで5千万フラン(約2億円)の増収となる。
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