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「歴史的な経済連携協定」とスイス首席交渉官

スウォッチの販売店。日本とスイス経済連携協定の恩恵を受け、スイスの会社は今後日本に進出することになる Keystone

日本とスイス経済連携協定 ( EPA ) の第1回交渉は東京での5日間の日程を終え、5月18日に終了した。

スイス側首席交渉官、ルツィウス・ワセシャ経済長WTOスイス政府代表部大使は、スイスラジオのインタビー応じ、この協定を「スイスにとって、1972年の欧州連合 ( EU ) との自由貿易協定以来の歴史的な出来事」と表現した。

 安倍晋三総理大臣とミシュリン・カルミ・レ大統領との間で今年1月に交わされた交渉開始の合意に沿って、日本とスイス経済連携協定の第1回交渉が5月14日から東京で始まった。スイス側は19人の交渉団を送り込み、対する日本側は、横田淳国際貿易・経済担当大使を首席交渉官に、およそ80人の専門家が交渉にあたった。

お互いに利益

 交渉の終わりにあたって、ワセシャ大使は5月18日朝のスイスラジオ放送 ( RSR ) のインタビューに答え「スイスと日本はこれで歩み寄ることができる。また、両国ともテクノロジーにおいて世界で最先端をいく国だということで認識が一致した」と両国の協力関係のプラス面をアピールした。

 さらに、「この交渉が成立すれば、スイスにとっては日本への市場アクセスが可能になるばかりか、アジア全体への市場アクセスの拠点ができ、また日本側は、スイスを通してヨーロッパ市場へのアクセスがより容易になる」と期待を寄せた。 

1年以内に交渉成立

 一方、日本のある交渉関係者によると「日本にとっては、この交渉が成立すれば、少なくとも日本からスイスへの輸出が増えることは確かだ」という。現在、日本からスイスに輸出される物品の70%に関税がかけられている。それが経済連携協定が成立すれば完全に撤廃されるか、削減されるからだ。一方、スイスから日本への輸出品には現在その20%に関税がかけられている。

 また、交渉が成功すれば、日本にとってスイスはヨーロッパで初めて自由貿易協定を結ぶ国になる。この5日間の交渉は、主要な交渉分野 ( 物品貿易、サービス貿易、投資、知的財産権等 ) について、専門家が部会ごとに意見交換を行い、同時に全体会議を行う形で進められた。 

 次回の交渉は2カ月後の7月上旬にスイスで行われる予定。今後およそ2カ月ごとに、お互いの国を交互に行き来しながら交渉を進めていく。今から約1年以内に同協定は成立するとみられている。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

日本とスイスの経済連携協定 ( EPA )

日本からの主な輸出品は電気製品、自動車など、スイスからの輸出品は医薬品、時計など。

日本からスイスへの輸出総額は約2600億円、スイスから日本への輸出総額は約5600億円。

次回7月中旬のスイスでの交渉には、日本側から最低でも50人の代表団が送られる予定。

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