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租税問題、スイスでアメリカ人の集団の照会も可能に

スイスの銀行は、氏名など具体的な個人情報がなくても脱税捜査に着手する義務を負う Ex-press

スイスとアメリカの間で結ばれている租税条約により、アメリカ当局はスイスに対し、脱税の疑惑のある人々を集団として照会することができる。今回スイス政府が発表した、アメリカとの条約に関する補足報告で明らかになった。

ドイツ語圏の日曜新聞「ゾンターク(Sonntag)」は8月28日、スイス連邦議会宛ての同報告書の抜粋を掲載した。

 それによると、アメリカからの申請が具体的な氏名や人物情報に基づくものではなく、特定の行動モデルしか分かっていない場合でも、スイスでの捜査が開始される。

 個々のケースの照会とは異なり、この場合は複数のアメリカ人銀行顧客の調査が同時に進められ、身元の確認は申請を受け取った国、つまりスイスが行うことになっている。

 アメリカとの租税条約を施行するに当たり、これまで常に、アメリカ当局は脱税の疑いのある人の身元を完全に明らかにできなければならないと強調されてきた。それだけに、今回明らかになった事実は論議を呼びそうだ。

「厳密に説明」したのみ

 この件について、連邦財務省国際金融問題局(SFI )のマリオ・トゥオル氏はスイス通信(SDA/ATS)に対し、次のように語った。「この補足報告は、スイスとアメリカ間のこれまでの実務をより厳密に説明したに過ぎない。集団の照会は1996年に締結された租税条約でもすでに可能だった」

 しかし、アメリカなど各国との新租税条約締結の際に言及されたのは個々の捜査申請のみだったため、スイス政府は今回、アメリカとの特別事例を補足報告で指摘したという。「これまでの条約で変更される点はない」とトゥオル氏は断言する。

 多くの国々と結んでいる租税条約にはまだ補足項目があり、同報告はその一部だ。この秋、国民議会(下院)と全州議会(上院)で討議される予定。全州議会の外交委員会は先週、すでに同案件を承認済みだ。

30カ国以上と条約締結

 スイスはこれまで、経済協力開発機構(OECD)の規定にのっとった上で30カ国以上と租税条約を結んできた。現行のアメリカとの条約は2010年6月、議会で採択された。

 今年2月、スイス政府は捜査協力の認可条件を緩和する意向を明らかにした。6月には、連邦議会がドイツを含む10カ国との租税条約における捜査協力の手続きの簡易化を承認。これによりスイスは、例えばドイツ当局が社会保険番号を身元確認の手掛かりとして提示した場合にも捜査協力に応じることになった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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