スイス連邦政府が2017年に支出した経費が全体で1億2170万フラン(約140億円)に上ることが分かった。職員1人当たり3500フランを支出している計算で、民間企業の約5倍近い。
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連邦政府の7省(連邦裁判所と連邦内閣は除く)で働く3万4800人のフルタイム職員が2016年に支出した経費を、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ブリックがまとめた。
最も出費が多いのは国防省外部リンクで、4518万フランに上った。同省は幹部の家族のヘリコプター飛行や高級リゾート地での宿泊にも軍の予算が当てられていたことが発覚し問題になっている。国防省長官は16日、省内文化の変革が必要だとして謝罪した。
外務省外部リンクの経費が2960万フラン、財務省外部リンクが1860万フランと続いた。旅費交通費の支出は両省が最も多い。
同紙によると、省庁でかかる経費は民間企業に比べ高い。企業向けソフトウェア会社SORECO外部リンクの調べでは、従業員数750人の企業では1人当たり733フランで、大半は旅費交通費や福利厚生費だ。
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スイス国防省幹部の家族、軍の経費で贅沢ざんまい
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スイス連邦国防省の内部調査で、省幹部の妻たちが利用したヘリコプターの飛行や高級リゾート地での宿泊、無料のゴルフレッスンにスイス軍の予算が当てられていたことが分かった。ギー・パルムラン国防相はこうした「行き過ぎ」を防ぐための対策を既に講じていると弁明した。
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スイスの民主主義 税金の使い道も最終決定権は市民が握る
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スイス中部にあるアーラウ市。この市では、政治家が過剰な財政支出をしようとすると、住民が財政レファレンダムという特別な住民投票制度を通して異議を唱えることができる。これまでに市の予算案が財政レファレンダムで実際に否決されることはあまりなかったが、この制度は違った形で影響力を発揮している。
皆のお金に関することは皆で決めるという「市民参加型予算」はここ数年で広がりをみせている。マドリードやパリでもすでに過去数回、5億ユーロ(約623億円)に上る予算案の是非が住民投票で問われてきた。
一方スイスでは、市民が予算案の是非を決めることは政治文化に長く定着している。大抵の州や基礎自治体には財政レファレンダムと呼ばれる住民投票制度がある。この制度には任意的なものと義務的なものがあり、大半の自治体にはそのどちらか一つがあるが、中には両方を持つ自治体もある。
市の財政に対する決定権
その後者のうちの一つがアーラウ市だ。ベルンとチューリヒの中間に位置するこの自治体は、絵に描いた様に美しく歴史のある旧市街で知られる。同市の予算は市議会だけが決めるのではなく、有権者にもその是非が問われる。アーラウ市では、市が600万フラン(約6億9千万円)以上の予算を組む場合に義務的に住民投票が行われる。
しかし、その金額以外でも、市の予算案すべてが任意的な住民投票の対象となる。任意的な住民投票を行うための唯一のハードルは、有権者の1割が一定の期間内に住民投票の実施を求める要望書に署名しなくてはならないことだ。
有権者が二つの制度で予算案にノーを突きつけることのできるアーラウ市では、税金の使い道に関して活発に議論を行う政治文化がこの数十年間で築きあげられた。その影響は市の景観にも表れている。春の暖かく穏やかな日、シュロッス広場の周りは緑であふれている。その景観が保たれている理由は、市の住民が数年前に、広場の地下に駐車場を建設する計画を財政レファレンダムで拒否したからだ。
シュロッス広場から数メートル先に、アーレ川の水路が緩やかに流れている。市は元々、360万フランをかけて、この水路を自然な岸や茂み、入り江、沼のある自然な状態に復元する計画を立てていた。しかし、「費用は高額で計画は不必要だ」と主張する右派の国民党は、署名を集めて住民投票を実現させた。その結果、国民党の主張は市の住民から認められた。
アーラウ市で初めて実現した財政レファレンダムの背景には長い物語がある。問題となったのは兵士の像の移転先だ。政治的には特に重要ではなかったが、市民感情に触れるものだった。この像は長年、駅前広場の中央に置かれていたが、1971年に広場が改装された際、この像を学校前広場に「追いやる」計画が持ち上がった。教諭たちはその予算案に反対するために署名を集め、住民投票を実現させた。そしてその結果、教諭たちの主張は住民から認められた。こうして再び駅前広場に設置されることになった兵士の像は、今日では駅前広場近くの兵営に置かれている。
「市民による調整」
アーラウ市の旧市街には数百年の歴史を持つ古い通りがある。この通りの人たちの多くは「市民による調整」を誇りに思っている。例えば公園で紙コップに入ったエスプレッソを飲んでいた男性は、市議会議員を基本的には信頼しているという。だが、議員が「おかしなことをする」時があれば、市民が市政に介入できることはよいと考える。また、バスを待っていた年配の女性は、スイス人の間に深く浸透している民主主義への考え方を的確に言い表した。「私たちが税金を払うならば、私たちにも決定権があるべきだ」
市の予算案に反対するために、住民投票の実施を求めて署名が集められることがアーラウ市では年に約1回程度ある。しかし必要数の署名が集まらないことは度々あるうえ、住民投票が実施されても実際に予算案が否決される可能性は高くない。過去15年間で実現した財政レファレンダムで予算案が否決されたケースは、シュロッス広場の地下駐車場建設計画とアーレ川水路の自然復元計画の2件だけだ。
見えないブレーキ
このように財政レファレンダムが市の住民投票で成功することはあまりないが、この制度の存在自体が見えないところで影響力を発揮している。チューリヒ大学の法学教授でアーラウ民主主義センター所長のアンドレアス・グラーザー氏は次のように語る。「(この制度の存在により)市は意識的に予算を決める傾向がある。そのため市の財政に負荷がかかりにくい」。ある研究によると、財政レファレンダムのある自治体では、この制度のない自治体に比べて人口1人当たりの予算額がはるかに低いことが分かっている。
財政レファレンダムには優れた点が多いとされる。しかしその一方で、直接民主制のほかの制度にもよくあることだが、この制度には計画の進行を遅らせるという面があり、場合によっては計画が当初の予定から数年遅れることもある。さらに、「非主流派や少数派のための予算案は、組織力の高い団体への予算案に比べて容認されにくい傾向がある」とグラーザー市は話す。
特に影響が大きいと考えられるのは、若者や外国人など投票権を持たない人たちだ。「しかし実際にはそのような影響は確認されていない」とグラーザー氏。アーラウ市ではこうした人たちへの予算は大抵気前よく承認されているという。
連邦レベルでの導入は?
つまり財政レファレンダムは、スイスがバランスの取れた財政を保つために重要な制度の一つと言える。だがそれは州レベルおよび基礎自治体レベルでのことであり、連邦レベルで国の予算が義務的ないしは任意的に国民投票に付されることはない。連邦議会の上下両院では約10年前に同様の制度を導入する案が議論されたが、結果的に案は棄却された。理由は、財政レファレンダムを導入すると連邦閣僚の裁量が大幅に狭められ、重要な投資が阻まれる可能性が危惧されたためだった。スイス流民主主義の一つの形「財政レファレンダム」
政府や議会の決定の是非を問う国民投票もしくは住民投票のことをレファレンダムというが、公的予算の是非を有権者に問う財政レファレンダムは世界で最も数少ない制度と言える。イタリア南チロルの学生団体Politisによれば、この制度が利用される国はスイスだけだ。
この制度はすでに19世紀にスイスの一部の州で導入されていたが、全国的に広まったのは1970年代以降のこと。
義務的に実施される財政レファレンダムは、州によってその形式が異なる。共通しているのは、一度きりの巨額予算または経常的に支出される経費にこの制度が適用されることだ。
義務的な財政レファレンダムが成立するための条件は州によって異なり、その条件は各州憲法に規定されている。
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くじ引きで国民議員を選んだら?
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「くじ引き選挙」。それは突拍子もない提案だろうか。街角の声を聞くと、一考の余地ありと考える人の方が多数派だ。下院議員をくじ引きで決める仕組みの導入を求めるイニシアチブ(国民発議)に向け、準備運動を代表する2人が街ゆく人に意見を聞いた。
「週の半分働く50%勤務で年間12万フラン(約1360万円)の収入があれば、(その仕事を)やってみたいですか?」。イニシアチブの準備運動を行うシャーリー・パッシュさんとニコラス・ロカテッリさんがフリブールの中心で配っているポストカードに記された一文だ。パッシュさんは「指名の世代」運動の責任者で、ロカテッリさんはその同志だ。
ポストカードは計画中のイニシアチブ「真の代表たる国民議員(下院議員)」という真剣なテーマについてユーモラスな切り口で説明する。投票の実現に向け、提案をさまざまな角度から解説する。
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スイスが数年連続で10億フラン(約1100億円)規模の財政赤字におちいっていた1997年、
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スイスインフォが主要7政党にアンケートをとった結果、各政党が今年10月18日に行われる総選挙に用意している予算は、公式には前回4年前の総選挙とほとんど変わらない(囲み記事参照)。予算を明らかにしなかった政党は、最大与党の右派国民党だけだったが、これは氷山の一角にしか過ぎない。実際の総額は、各政党がアンケートで答えた数百万フランをはるかに超えるとされる。
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