スキーシーズンが終わると、観光地を訪れる客の数は滑走路の傾斜のごとく急減する。一方で観光地の住民には、後片付けと夏の繁忙期に向けた準備が待ち受けている。スイスの写真家トーマス・ヴュートリッヒさんは、そんな閑散期におけるスイスのスキー場の様子を写真に収めた。
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ロンドン出身。英インディペンデント紙勤務を経て、2005年にスイス・ベルンに移住。スイスの公用語3つを話す。時間を見つけては国内を旅し、パブやレストラン、ジェラート屋でその語学力を発揮している。
二つの山岳リゾート地、スイス・グラウビュンデン州のザムナウンとオーストリア・チロル州のイシュグルの間に位置する、スキー場シルヴレッタ・アレーナ。繁忙期になるとその町のレストランやバーは、冬にはスキーやスノーボード、夏には登山やマウンテンバイクを楽しむためにやって来る宿泊客で大変賑わう。
しかし雪が溶け、冬の繁忙期が終わるやいなや、宿や飲食店などの従業員は一息つく間もなく次の繁忙期に向け、後片付けと準備に追われる。
清掃待ちのがらんとしたスキー場の更衣室や、宿の外にずらりと干された絨毯(じゅうたん)をこれまでに目撃した観光客はそう多くないだろう。今ではスイスフラン高のあおりを受け、多くのスキー場が苦境に追い込まれている。競争の中で生き残るため、現地の住民は働き続けるのだ。ヴュートリッヒさん外部リンクの写真は、普段はあまり目にすることのない、そんな観光地の閑散期における風景を写し出している。
(写真編集・Christoph Balsiger 文・Thomas Stephens)
(Übertragung aus dem Englischen: Peter Siegenthaler)
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ツェルマットの中央広場には毎日、何百ものスキースクールの参加者が集まる。参加者はここでインストラクターと落ち合い、ゲレンデに向かう。フラン高の影響で、ユーロ圏からの観光客の姿は以前より少ない。
その損失をカバーするため、ツェルマットの旅行業者はターゲットを国内とアジア人観光客に定め始めた。昨年ツェルマットに宿泊した客の、およそ15万人はアジアからだ。現在の為替レートがアジア人観光客に与える影響は比較的少ないが、それでもアジアからの観光客にとって、スイスの物価が高いことに変わりはない。
ホテルの宿泊料金も高いものの一つだ。ほかの地域の多くのホテルが宿泊料金の引き下げを行う中、ツェルマットは高い価格を維持している。
ツェルマットのホテル経営者たちは、今後もさらに国内市場の拡大に力を注ぐ方針だ。現在既に、国内からの予約が宿泊予約のほぼ半分を占めている。
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