UBSがアメリカ上院の公聴会で謝罪
スイス最大銀のUBSは、同行を激しく非難したアメリカ上院の委員会に対し、アメリカでの業務の仕方が誤っていたと謝罪した。また、この先アメリカ国民に対してオフショア銀行業務の提供を行わないことを約束した。
7月17日の公聴会に出席したのは、アメリカ資産管理業務の責任者マルティン・リーヒティ氏と資産管理業務財務責任者のマーク・ブランソン氏の両氏。だが、アメリカ当局に拘束中のリーヒティ氏はその影響を考慮して発言を拒否した。
リヒテンシュタインは出席せず
上院の委員会はある報告書で、UBSとリヒテンシュタイン公国のLGT ( リヒテンシュタイン・グローバル・トラスト ) がアメリカで脱税をほう助していると非難した。その被害総額は年間およそ1000億ドル ( 約10.6兆円 ) に上るという。
2001年、UBSとアメリカ国税局は同国民の顧客に適用する税金関連の規則を定め、協定を結んだ。元UBS顧問のブラッドレー・バーケンフィールド氏によると、UBSはこの協定に反する業務を行った。
民主党上議員のカール・レヴィン委員長は、スイスの銀行守秘義務は脱税を招くと批判したが、ブランソン氏が公聴会で「わが社の管理が不十分だった」と非を認め、謝罪したこと、またUBSが是正策を取ったことに対して「ほかの銀行の模範となる」と感謝さえした。一方のLGTは上院の非難を否定し、公聴会への出席を拒んだ。
アメリカには「W9」と呼ばれる書類があり、顧客は銀行が国税局に顧客情報を提出することに同意したとき、この書類に記入をする。ブランソン氏によると、UBSにはこの書類に記入していない顧客がおよそ1万9000人いる。
UBSには現在、司法の手も伸びている。フロリダ州マイアミの裁判所は今月初め、脱税の疑いのある顧客の情報を国税局へ提出するべきという判決を下した。連邦財務省 ( EFD/DFF ) によると、スイスにはアメリカから公式に調査協力の要請が届いている。
swissinfo、外電
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。