アメリカ合衆国内国歳入庁は11月16日、スイスの銀行最大手UBSに対する民事訴訟を取り下げたと発表した。
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「ジョン・ドウ・サモンズ ( John-Doe-Summons ) 」と呼ばれる制度を用いたこの訴訟は、アメリカが要求していたUBS顧客情報の大半をスイス側が譲渡した後に取り下げられた。
4450人分のうち4000人分を開示
UBSに口座を作り脱税していた疑いのあるアメリカ人顧客の情報の引き渡しをめぐってこれまで数年間にわたって争われていたが、これによりこの争いは公式に幕を閉じることになった。
スイス連邦財務省 ( EFD/DFF ) の発表によると、米内国歳入庁 ( IRS ) は、スイス側がUBSの投資アドバイザーの助言により脱税をしていた疑いのあるアメリカ人顧客およそ4000人分の情報を引き渡した後、まず「ジョン・ドウ・サモンズ」の訴えを取り下げた。「ジョン・ドウ・サモンズ」とは、訴えの対象となる個人の氏名を不詳としたまま、銀行などを相手取って裁判を行うことができる制度だ。米内国歳入庁は2008年にこの訴えを起こしたが、スイスとアメリカの間で締結されている租税条約の枠内でスイスが犯罪捜査協力を行うことになり、訴えは凍結された形になっていた。
スイスは昨年8月、同問題の解決に向けておよそ4450人分の顧客情報の開示に同意した。今後、数カ月間で残りの約450人分の顧客情報も引き渡す予定だという。
アメリカの圧力によりスイス連邦政府と金融監督局 ( Finma ) が許可した顧客情報の開示は、スイスの銀行守秘義務の空洞化に対する決定的な第一歩になったと見なされている。
スイスでは、米内国歳入庁の訴えが経済危機で大打撃を受けたUBSをさらに揺さぶり、存続の危機をもたらすのではないかと危ぶまれていた。
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