UBS議会審判委員会 設置否決
UBS銀行をめぐるスキャンダルと金融危機をもたらした責任について審判する連邦議会の審判委員会は設置されないことになった。
審判委員会 ( PUK ) の設置は国民議会 ( 下院 ) から提案されていたが、2度目の審議で最終決定権を握る全州議会 ( 上院 ) が6月15日、反対28票、賛成15票の大差で否決した。
設置は内閣の手に
スイス銀行最大手のUBSが金融危機を引き起こしたことと、銀行の守秘義務を破りアメリカ政府に顧客情報を開示する約束を行った責任が現在、議会で強く問われている。議会はUBSに対する調査委員会 ( GPK ) を設け、その結果はすでに発表されている。今回はUBSの責任を審判する委員会の設置をめぐり全州議会と国民議会が審議を行っていた。
設置に否定的だったのは、国民党 ( SVP/UCD ) 、急進民主党 ( FDP/PLD ) 、キリスト教民主党 ( CVP/PDC ) で、すでに発表となっている調査委員会のUBS調査で、金融危機を引き起こした原因を学び、今後の反省点は十分引き出せるという意見が多数を占めていた。
しかし、急進民主党やキリスト教民主党の議員の中にも、調査だけでは不十分であり、まだ答えの出ていない疑問点は審判委員会が明らかにし、政治的な審判を下すには委員会の設置が必要という声もあった。また、社会民主党 ( SP/PS ) のシモネッタ・ソマルガ全州議会議員は
「UBSが連邦政府の予想と金融監督局 ( Finma ) に影響を与えたかという点を明らかにすべきである」
と審判委員会の設置を支持していた。
審判委員会の設置は議会により否決されたが、UBSと協力した独立専門委員会の設置の可能性が残されている。その判断は内閣の手に委ねられている。
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議会による審判委員会が設置されることは珍しい。以下、過去設置された例。
1964年 ミラージュ事件。予算を大幅に上回るミラージュ戦闘機の導入について。
1989年 スイス初の女性閣僚、エリザベト・コップ氏の退任の背景について。
1990年 国民の動向調査事件 ( フィッシャー事件 ) について。
1995年 老齢年金赤字問題について。
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