UBS アメリカ上院で弁明
3月4日、スイス最大の銀行UBSはアメリカ上院の委員会の公聴会に召喚された。UBS資産管理部の財務部長を務めるマーク・ブランソン氏はこの席で、アメリカ国税庁 ( IRS ) に対し、アメリカ人顧客の情報をこれ以上公開するつもりはないと発言した。
その理由としてブランソン氏は、顧客情報を開示するとUBS銀行の行員がスイスの法律を犯し、罪に問われる可能性が高いことを挙げた。今回の民事訴訟は基本的にアメリカ国税庁とスイス政府間の係争であり、UBSは両国の外交による話し合いでこの問題を解決するべきだと考えていると説明した。
3月4日、スイス最大の銀行UBSがアメリカ上院の委員会で弁明した。
ブランソン氏によると、今回情報開示の対象とならなかったアメリカ人顧客の口座も、もうすでにほとんど閉鎖されているという。ブランソン氏はまた、UBSはアメリカ国税庁に協力するためにできる限りのことを行ったと弁明した。
一方、米民主党員のカール・レヴィン委員長は、顧客が脱税するよう故意に仕向けたとUBSを非難する。
「UBSはその過ちを認め、250人分の顧客情報を開示したが、これはUBSが所有するおよそ4万7000人のアメリカ人顧客の0.5%にも満たない」
レヴィン氏は、アメリカ国税庁に対する偽りを認めた顧客の名前をUBSがなぜすべて開示できないのか分からないと言い、
「この件に関し、スイス政府がUBSを援護していることは別段驚くことではない。何でも秘密にすることでスイスは大金を稼いでいるのだから。アメリカが自由と民主主義を誇りにしているように、この国は銀行守秘を誇りにしている」
と述べた。さらに、スイスと結んでいる二重課税協定は無用の長物であり、
「スイスはこの協定と銀行守秘を利用して脱税者を擁護している」
と批判した。
レヴィン氏は税金逃れに対する新しい法律の制定を提案し、オバマ政権の支持も得た。この法律では、スイスとリヒテンシュタイン公国を含む34の「租税回避地」がブラックリストに載せられる見込みだ。
また、アメリカ国税庁のダグラス・シュルマン長官はこの公聴会で
「裕福な個人が外国へ行き、罪にならずに脱税するという状況を認めるわけにはいかない。オバマ政権は外国での脱税に厳しく対処するつもりでいる」
と述べた。
連邦内閣は明日協議
スイスでは明日3月6日、連邦内閣が銀行守秘の譲歩について協議する予定だ。3月4日夜、スイスドイツ語圏国営テレビの報道番組に出演したエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法相は、この協議で1つの戦略を決め、その後専門委員会で審議したあと、すぐに実現に移されることになるだろうと話した。
また、4月上旬のG20サミット開催前に何らかの解決策を見つけ、スイスが税金逃れ対策に非協力的な国家としてブラックリストに載せられることのないように準備を整えなければならないと述べた。
「ブラックリストに載せられたら、わが国の経済は壊滅する」
swissinfo、外電
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