Larissa M. Bieler
専門分野:直接民主制(#DearDemocracy)、倫理問題、フェミニズム。言語学を学んだ者として、言葉が持つ意味と力に強い関心を持っている。 イニシャル:lmb
1978年グラウビュンデン州クール生まれ。チューリヒでドイツ語学、経済学、政治学を学ぶ。ローカルメディアでフリー記者を長年務める。2013年に地方紙ビュンドナー・タークブラット総編集長に就任。2016年1月よりswissinfo.ch総編集長。
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【年末のご挨拶】明くる年も皆様との交流を楽しみにしています
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本年中のご愛顧に心より感謝申し上げますとともに、皆様のますますのご多幸と、そして何よりもご健勝をお祈り申し上げます。
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自分の言いたいこと、自由に言えていますか?
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過去3カ月に配信した「表現の自由」シリーズ記事の概要を紹介します。記者や他の読者と意見を交換できる議論ページにもぜひご参加ください。
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「満腹にさせるのではなく、空腹にさせるジャーナリズムに取り組んでいます」
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swissinfo.chのウェブサイトが生まれ変わりました。スイス公共放送協会(SRG SSR)のグループ会社として、10カ国語でニュースを配信する私たちswissinfo.chの新たな始まりです。
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山が「少し」動いたスイス総選挙 結果分析
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10月20日に実施されたスイス連邦議会総選挙は、環境派と女性が勝者となった。これは今後のスイス政治にどんな意味を持つのか?
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カシス外相「私からスイスファーストという言葉を聞くことは絶対にない」
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スイスのイグナツィオ・カシス外務相は、広がりを増したこの世界で、スイスのアイデンティティの意義を強化しようとしている。外相はこのほど、今後10年の国の外交政策がどうあるべきかを示す「2028年のスイス外交政策のビジョン」を策定。スイスインフォは外相に独占インタビューし、その意図を聞いた。
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フォン・グラッフェンリート氏がアルジェリアを語る
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(聞き手・Larissa M. Bieler、撮影&編集・Carlo Pisani / swissinfo.ch)
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優れた報道写真はどのように生まれるのか
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いつも誰かがどこかで写真を撮り、膨大な数の画像がネットに上げられる現代。そんな時代にも「プロの仕事は何物にも代えがたい」とスイス人写真家ミヒャエル・フォン・グラッフェンリートさんは考える。
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フォン・グラッフェンリート氏が写真集「コカインラブ」を語る
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(聞き手・Larissa M. Bieler、撮影&編集・Carlo Pisani / swissinfo.ch)
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スイスの女性航空機パイロット、自身の航空会社立ち上げから30年
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ヘレーネ・ニードハルトさんの名前が新聞の見出しに踊ったのは1980年代のこと。彼女は当時、スイスでは数少ない職業パイロットだった。しかし、女性であるがゆえに雇ってくれる航空会社はどこにもなかった。でも、空を飛びたいー。彼女が選んだのは、自分の航空会社を立ち上げる道だった。
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「アーティストに政策を押し付けてはならない」 ビショフ理事長が語る文化交流とは
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スイスの芸術評議会「プロ・ヘルヴェティア文化財団」の理事長に新しく就任したフィリップ・ビショフ氏が、スイス国外での文化交流の重要性をスイスインフォに語った。
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「公共放送受信料を廃止」議会で舌戦、議員の発言は正しいのか?
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年間451フラン(約5万2500円)の公共放送受信料を廃止するよう求めたイニシアチブ「ノー・ビラグ」は25日までに、スイスの全州議会、国民議会でそれぞれ否決された。公共放送の受信料をめぐっては、これまで議員たちが激しい舌戦を繰り広げたが、その発言内容は正しいのだろうか。スイスインフォがファクトチェックした。
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戦争遺跡の核シェルター、閣僚には個室も
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スイスの地下には驚くような世界がある。敵襲から身を守るために作られた核シェルターが国のあちこちに広がっているからだ。通行可能な空間を一列に並べると全長約3780キロメートルのトンネルになる。これはチューリヒからイラン・テヘランに至る距離で、国の領域に対する比率でみれば世界に類を見ない数字だ。ジャーナリストのヨスト・アウフデアマウアー氏が4月末、国内にある地下施設の記録をまとめた著書「Die Schweiz unter Tag(地下のスイス)」を出版した。その中には、連邦政府閣僚用の個室が備わった豪華な施設も紹介されている。
同書に掲載された12件のルポルタージュには、資産の保管部屋や水力発電所、ハイテクな実験室、病院、トンネル、秘密の洞窟に加え、閣僚のために作られた「トップシークレット」の地下施設など、興味深い内容が収められている。さらに面白いのは、地下施設の建設から垣間見えるスイスの特異な世界観があぶり出されている点だ。
国内最大の地下施設
スイスの地下世界は素晴らしく、また風変りでもある。同書によれば、国内には個人用の核シェルターが36万戸、大規模なものは2300戸あり、非常事態には全住民を収容してもまだ余裕がある。都市全体が地下にそっくりそのまま避難できるというわけだ。これらの大規模な防護施設は今も残り、中に入ることもできる。
多くの観光客が訪れる古都ルツェルンの地下には、世界最大級の住民用避難施設ゾネンベルグがある。1976年に稼働したこの施設は、第三次世界大戦に備えて6年かけて建設された。収容可能人数は2万人。アウフデアマウアー氏は「この核シェルターを爆破したら、ルツェルンの半分が吹っ飛ぶ」と熱弁をふるう。同氏はまた「スイスは地下に向かって開拓している」と説明する。
スイスは世界を信用していないのか
アウフデアマウアー氏は、この国の隠れた特異性をあぶりだす優れた観察者であり、またその特異性に一定の尊敬を抱いている。スイスの世界観や国民意識は巨大な地下建築と密接に関係し、同書ではこうしたスイスの精神をつまびらかにしている。スイスの地下世界は「地上の世界」に対する同国の心理的反応ともとれるというわけだ。
アウフデアマウアー氏は同書で、文字通り地下深くに目を向けるだけでなく、地下施設と密接に絡み合った国の精神の歴史を深く掘り下げた。スイスはこれほど未来を信用しないのか。大規模な地下施設を目にすればそんな疑問が浮かんでくる。同氏は著書の中で「たとえそうであっても、私はずっと、この地下世界に足を踏み入れたかった。これこそ典型的なスイスの姿であり、隠れた特異性だからだ」と語る。
岩の中の政府官邸
同書では1章を割いて、ウーリ州の小さな村アムシュテーグに建設された、閣僚用の核シェルターを紹介している。
岩盤をくりぬいて作られた設備は驚くようなものだ。もともと第二次世界大戦中、閣僚が「石造りの中枢」に避難できるようにと建設された。同書では「広さは3千平方メートルで、2階建て構造に居住区とオフィススペースがあり、山中に政府官邸も備えられている」と紹介されている。必要な機能と快適さを完備したこの核シェルターでは、寝室を3つのランクに分けている。個室は閣僚用、2人部屋は政府職員、大部屋はその他のスタッフ用、という風にだ。
この地下施設は2002年に「ただ同然で」売却された。同書によると、新しい所有者は核シェルターを金庫に変え、海外の顧客向けに「金、銀、プラチナ、レアアース、現金、芸術作品、ダイヤモンドや貴金属」を保管。「厄介な財政当局の査察が入る心配がない」のを売り文句にしているのだという。
死者1万人
アウフデアマウアー氏は歴史的な批評に加え、スイスの特異性を細部まで見つめる目を持つ優れた語り手であるだけでなく、ジャーナリストでもある。同氏は「バンカー建設に当たり、1万人が死亡したのは間違いない。少なくとも5万人が生命を脅かされた」と指摘し、「戦時中のような(死者の)数だ。私たちのためにこの『戦い』に生死をかけたのは外国人であり、ここを追悼と感謝の地としてもよいくらいだ」と語る。
(ヨスト・アウフデアマウアー著「Die Schweiz unter Tag(地下のスイス)」、図解付き全144ページ、発行元Echtzeit-Verlag)
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高齢、重病、無力感 それでも生きていくのか?
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死期を自分できめることは正しいのか?もしそうだとしたら、そのことが高齢者に対して「早く人生を終えるように」と無言の圧力をかけてしまわないか?この二つの問いをめぐり、今スイスでは自殺ほう助についての議論が再燃している。自…
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死を巡る議論―自殺天国のスイス
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不治の病であれ、生きるのに疲れたのであれ、死について議論する際、自己決定が最も重要であり最後の論拠となる。大多数の人が生の終え方を自分で決めたいと望む。スイスで広く受け入れられている自殺ほう助は、致死量の薬を摂取することで死を迎えるが、この最期の行為は患者本人が行わなければならない。事前に医療の手助けも必要だ。
スイスは自殺ほう助の先進国だ。年老いた人が自殺する権利は事実上規制されておらず、外国人が安楽死を求めてスイスを訪れる「自殺ツーリズム」がブームになっている。このリベラルな現状を見ると、スイスでは自殺ほう助が肯定的に受け止められているような錯覚に陥るが、実際は違う。自殺ほう助は政治や宗教、社会通念や倫理などといった価値観との戦いの連続だ。たとえ差し迫った状況にあるからといって、人の命をどうするか、そもそも問うていいものなのか。自殺ツーリズムを法で規制するか否かの議論はいまだ消えることはない。
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民主主義のツールとしてのスイス放送協会
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デジタル化はメディアの世界をひっかき回し、数々の新技術は新しいメディアの形を可能にし、かつ強いるとともに、その利用の仕方や国際競争のあり方をも変えた。スイスも例に漏れず、21世紀の国家を反映する公共メディアを必要として…
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未来は民主的
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スイスの国の古称「ヘルヴェティア」。これは、「スイス」とは異なる、特別な響きと意味合いを持つ呼び名である。「ヘルヴェティア」は素晴らしい国、強い国だ。その理由は民主主義にある。この国の村の中では、どこよりもしっかりと建設的な議論文化を体得できる。各自治体で開かれる集会は、行為や動機や参加者を概観できるミクロ社会だ。一部の人間の利害関係や事実の規範力が政治の行方を定めていくときの結末のあり方を、この小さな集まりではダイレクトに感じ取れる。そしてまた、同時に団結心や抵抗心も感知できる。
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