スイスでは「Cash is king(現金は王様)」との考えが強いことが、公式統計でも明らかになった。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の調査外部リンクによると、スイスで行われる決済の7割は現金によってやり取りされている。
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スイス中銀は昨秋、初めて決済手段に関する調査を実施した。先月末発表された調査結果によると、現金は他の支払い手段に比べどこでも受け入れられ、利用者に優しく、迅速かつ低コストだとみなされている。また10人中9人が、スイス紙幣は偽造不可能だと思うと回答した。
現金は主に少額の決済に使われることが多く、金額ベースで見ると現金のシェアは半分以下だ(下記グラフ参照)。全決済金額の55%はクレジットカードやデビットカードが占める。オンラインバンキングや郵便局、PayPalなどオンライン送金は少数派だ。
全国展開する小売店が新しい決済サービスの採用に消極的でなければ、カード払いなどはもっと増えるだろう。トゥイント(TWINT)外部リンクに代表されるスマートフォンの決済アプリを使ったことがある回答者はほぼ皆無だった。「デビットまたはクレジットカードの非接触決済サービスを使ったことがない」人は、同機能のあるカードを所持している人も含め3分の2にのぼった。
スイス人の現金への愛は高額紙幣の流通量にも見て取れる。昨年末時点で、スイスの最高額紙幣である1000フラン札は5千万枚も市場に出回っている。欧州中央銀行(ECB)が犯罪予防のために500ユーロ札の発行を止めたのと対照的だ。
≫世界で最も高額の1000フラン札、もし交換期限がなくなったら?
スイス中銀が調査で1000フラン札の使い方を尋ねたところ、高齢者が郵便局での支払いに使うことが多く、高級品の購入の35%にも使われていることが分かった。
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なぜスイス人は現金が好きなのか
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行動経済学者のアンドレアス・シュタウブ氏に、スイス人が現金での支払いを好む理由を聞いた。(SRF/swissinfo.ch)
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現金主義の国
スイス中銀の調査は、回答者1968人に1週間にわたって決済の詳細を記録してもらった。 延べ2万2689件の取引があり、決済総額は91万9305.60フランになった。
小売店やガソリンスタンド、レストランなどでの一回限りの支出が対象。調査対象外の賃貸料や電話代などの固定費の支払いにはキャッシュレス決済が多く利用されている可能性がある。
スイス中銀によると、ドイツや南欧の消費者は、フランスや北欧に比べ現金主義の傾向がみられる。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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1000フラン札は「スイス文化の一部」
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スイスの1000フラン札(約11万円)は世界で最も高額な紙幣の一つだ。欧州中央銀行は今月4日、違法行為を防止する目的で2018年末までに高額紙幣の500ユーロ札の発行を停止する計画を発表したが、スイス政府は「1000フラン札はスイス文化に欠かせない」として同紙幣発行の継続を明らかにした。
スイス国内で流通している1000フラン札は、2000~14年の間に2千万枚から4千万枚へと倍増した。
中道左派のスイス社会民主党マルグレット・キーナー・ネレン議員はテロリストや犯罪者間での現金取引やマネーロンダリングに悪用されやすいとの観点から、高額紙幣の流通を懸念する。
だがスイス政府は19日、こうしたリスクを認識しており、高額紙幣を使った違法行為の防止に必要な対策はすでに講じられていると文書で回答した。
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世界一安全な紙幣、50フラン
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スイスの50フラン紙幣が、国際銀行券協会(IBNS)の紙幣コンペで「バンクノート・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞した。
芸術的価値があり、革新的なセキュリティ機能を備えた紙幣に与えられる「バンクノート・オブ・ザ・イヤー」。今回受賞したスイスの50フラン紙幣は偽造防止のために、特殊な繊維や赤外線吸収インク、光学的変化インクを使うなど、計15種類の特殊性を備えている。さらに3層構造のうち2層には、綿紙と補強性のある高分子素材が使われており、従来の紙幣よりも耐久性がある。
IBNSはスイスの50フラン紙幣について「3層構造のDurasafe® 技術を採用した鮮緑の縦型紙幣には、タンポポの綿毛、山脈を背景に宙を舞うパラグライダー、創造性にあふれる人間の手が描かれている」と話す。
高分子素材を使用した紙幣が「バンクノート・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるのは今回で3度目だ。
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2.新20フラン札は旧20フラン札よりも小さい。スイス国立銀行(中銀)によると、生産が効率的で、消費者にとってより使いやすい大きさだからだという。
3.国章の十字や色が変化する地球儀のデザインなどに、計15種類の偽造防止技術を採用。
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