コロナ最新世論調査 再び楽観的ムードに
世論調査会社ソトモが9日発表した新型コロナウイルスに関する最新の世論調査で、パンデミック(世界的大流行)対応が改善したことを受け、スイス国民は再び楽観的なムードに包まれていることが分かった。
スイス国民のムードはこの15カ月間、一進一退を繰り返してきた。今年1月と3月の調査では国民の失望や不安が浮き彫りとなったが、今回の調査では感染第一波の影響が落ち着いた昨年の夏と同様、再び楽観的なムードに包まれていることが分かった。
ソトモによるオンライン調査は今回で8回目。
世論調査によると、回答者の約4分の3(73%)が、スイスは他の欧州諸国よりうまくパンデミックに対応していたと答えた。
調査担当者は「ワクチン接種キャンペーンの進展、新規感染者数の減少、制限措置の緩和などにより、人々は再びパンデミックに対して楽観的な見方をするようになった」と分析する。
今年3月に上昇した連邦内閣の危機対応への信頼度はさらに高まり、信頼が「高い」「とても高い」と答えた回答者は54%に上った。
ソトモの調査担当者は「連邦内閣が今年初め、国として再び一律の措置を取ったこと、また導入された対策措置によってコロナ患者が大幅に減少し病床数に空きが出たこと、これらが政府の評価にプラスの影響を与えている」と説明した。
3月の時点では、回答者の約半数(46%)が「コロナの制限措置は行き過ぎ」と答えていたが、今回の調査では33%に減少した。
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デルタ株に対する懸念
しかし、インドで最初に見つかったデルタ株が今夏にまん延し、活気を取り戻しつつある国内に再び影を落とすことへの懸念はぬぐえない。連邦保健庁は6日、デルタ株が新規感染者の3割を占めると公表した。
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保健庁感染症班のヴァージニー・マッセリー班長は同日の記者会見で、変異株が最近の症例数増加の主因であると断定するのは時期尚早だとしながらも、直近のロックダウン(都市封鎖)緩和や、サッカー欧州選手権(EURO2020)などのイベント、休暇前に検査をする人が増えていることが一因になっている可能性があるとも話した。
ワクチン接種も全国的に続けられているが、1日当たり6万~7万回の接種とペースダウンしている。これまでに人口の約38%が規定回数のワクチン接種を終えた。
ソトモの世論調査では、回答者の60%が少なくとも1回目のワクチン接種を受けたと答え、3%はすぐに接種したいと答えた。一方で回答者の12%は「しばらく待ちたい」、25%は「接種する予定はない」と答えた。
先月7日からスイス政府が発行を開始した「COVID証明書」には、回答者の過半数(61%)が賛成だと答えた。この証明書は、ワクチン接種を完了した人のほか、直近のPCR検査で陰性が証明された人、新型コロナウイルス感染症から回復した人が対象。今月9日から、EU諸国、アイスランド、ノルウェーでも有効となる。
swissinfo.chの親会社スイス公共放送協会(SRG SSR)が委託し、世論調査会社ソトモが7月1~5日、国内の全言語圏に住む2万3337人(15歳以上)を対象にオンラインで実施。昨年3月から実施しており、今回で8回目。
調査対象者は自主参加のため、標本は母集団を代表するものではない。データは統計的重み付け手法を取り入れた。誤差の範囲は+/- 1.3%。
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