スイスのイグナツィオ・カシス大統領(左)とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は首都キーウでの会談後、記者会見を行った
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スイスのイグナツィオ・カシス大統領は21日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、20日にウクライナで行われたウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談は復興と人道支援が主な焦点だったと語った。
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カシス氏はインタビュー外部リンクで「ゼレンスキー大統領との会談は、戦略的なウクライナの状況についてだった。この戦争を終わらせる方法はあるか、厳しい冬にどう備えるか、といったことだ」と説明した。「キーウでは既に寒さを感じられる」
ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領が安全上の理由で同国訪問を延期したのとは対照的に電撃訪問を決行した理由について、カシス氏はキーウ内やポーランドからの列車の移動は安全だと判断したと語った。「残念ながら直近の攻撃でキーウの町は傷跡があるが、それでも安定し落ち着いた状況にある。だがもちろん戦争地帯ではリスクがゼロになることはない」
カシス氏は20日にウクライナを訪れ、戦争の現状と復興に向け何が必要かを探った。訪問はゼレンスキー大統領のほか、デニス・シュミハリ首相、ドミトロ・クレバ外相と会談した。
議論の中心は、スイスがウクライナに提供できる人道支援や、後の復興への支援策についてだったという。
2月の戦争開始以来、スイスは救援物資680トン以上と食料4750トンをウクライナに送った。現在はスイスの消防・がれき除去設備の輸送準備を進めている。
2022年の輪番制大統領を務めるカシス氏はツイッターで、ウクライナでは「民間インフラに対して攻撃するこの戦争にぞっとした」と投稿した。ロシアのミサイル攻撃を受けたボロジャンカとイヴァンキフの人々の力強さに敬意を示した。
同氏は20日朝、ウクライナを電撃訪問。戦況や人道的状況の把握のほか、同国の復興に向けた準備作業のためだとツイッターで説明した。
ウクライナ・キーウの鉄道駅で、スイス大使のクロード・ヴィルド氏(左)と握手を交わすイグナツィオ・カシス大統領(手前右)。ウクライナ外務相代理ら同国政府関係者も同席した
© Eda/ Pascal Lauener
スイス連邦外務省は「安全上の理由」により、カシス氏の訪問日程の詳細は明かしえていなかった。
カシス氏は、ロシアのウクライナ侵攻開始後まもない3月にポーランドとモルドバを訪問。ウクライナ難民の受け入れとキーウおよび近隣諸国への人道支援について協議した。
7月にはウクライナ復興会議を主催。40カ国・15国際機関の代表が集まった。
スイスには現在、約7万人のウクライナ難民がいる。当局は今後3カ月でさらに増えるとみる。
カシス氏は21日にモルドバを訪問した後、来週ベルリンで開かれる主要7カ国(G7)・欧州委員会共催でウクライナ復興支援を協議する専門家会議に出席する。
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