スイスの視点を10言語で

日本人率いる建築事務所チーム、スイスの空港改装プロジェクトで優勝

エンガディン空港の改装計画イメージ
スイス・エンガディン空港の改装イメージ図(Project by: Hosoya Schaefer Architects/Blarer & Reber Architekten) Filippo Bolognese

日本人建築家の細谷浩美氏が共同代表を務める建築事務所のチームが、スイス東部グラウビュンデン州にあるエンガディン空港外部リンクの改装計画のコンペで優勝した。今後具体的な建設計画に落とし込んだあと連邦運輸省民間航空局の承認を得て、2021年にも着工する。

 エンガディン空港はグラウビュンデン州サメダンにあり、海抜1707メートルと、欧州で最も標高の高い空港。定期便は就航していないが、高級リゾート地サンモリッツから5キロの地点にあり、プライベートジェットや航空救助隊レガ外部リンクのヘリコプターの拠点となっている。エアロスイス外部リンクによると、2017年の航空機発着回数は1万6108回 。

 効率化や安全の法規制に合わせるために改装が必要になっていた。空港のあるオーバーエンガディン地方の住民は17年3月の住民投票で、改装プロジェクト第1弾に850万フラン(約9億6千万円)を拠出する案を可決。11人から成る選考委員会がプロジェクトを公募・審査していた。今年4月に受賞者が決まり、8月に授賞式が開かれた。

 優勝したのはホソヤ・シェーファー・アーキテクツ外部リンク(チューリヒ)とBlarer&Reber Architeckten外部リンク(サメダン)の合同チーム。選考委員会は「とても緻密でアイデンティティーに貢献する構造」と評した。「シンプルで厳格なデザインは経済的に実現しやすい」点も評価された。

エンガディン空港の改装イメージ
Project by: Hosoya Schaefer Architects / Blarer & Reber Architekten Filippo Bolognese

 改装の第1弾ではターミナルや管制塔、事務所、レストランやセキュリティーチェックの建物を改装。その南西部にレガなどのヘリコプター格納庫を置く。

 細谷氏はスイスインフォの取材に「エンガディン空港は地元の人や飛行機好きな人が集まってくつろぐ場になっている。そうした場を大切にしながら新しい機能を加えた」と思い入れを語った。

 総工費は2200万フランで、今回決まった第1弾は1300万フランかかる。その他地下工事に540万フラン、基礎工事に140万フランなど。工費のうち950万フランは空港のインフラ運営企業が借用。400万フランが連邦とグラウビュンデン州が出資する。 

 ホソヤ・シェーファー・アーキテクツは細谷氏とスイス人建築家のマーカス・シェーファー氏が2003年に共同で設立した。チューリヒに本社、京都に事務所を置く。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む
ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
整備中の飛行機

おすすめの記事

スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠

このコンテンツが公開されたのは、 スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。

もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
署名の入った箱

おすすめの記事

国民投票に向けた署名がまたも偽造

このコンテンツが公開されたのは、 医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。

もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部