スイス連邦金融市場監督局(FINMA)は、2009~2018年にマネーロンダリング(資金洗浄)対策基準を遵守しなかったとして、大手プライベートバンクのジュリアス・ベアに対し、大規模な買収を一時的に禁止する制裁処分を下した。
このコンテンツが公開されたのは、
FINMAは、同行が「金融市場法の重大な侵害を犯した」とし、「法律を完全に順守するまで、大規模かつ複雑な買収」を禁止すると述べた外部リンク。
FINMAはまた同銀行に対し、顧客アドバイザーの雇用管理や報酬・罰則システムの見直しといった改善措置を講じるよう命じた。
マネーロンダリング対策基準を守らなかったとFINMAが指摘したのは、2009~2018年のベネズエラの国営石油会社(PDVSA)と国際サッカー連盟(FIFA)運営組織に関連する取引。
FINMAは、同銀行が顧客の身辺調査を怠り「報酬システムは、ほぼ財務目標だけに焦点が当てられ、コンプライアンスとリスク管理目標に関してはほとんど考慮されていなかった」と述べた。
FINMAは「2014年、ベネズエラの大規模クライアントに対して7千万フラン(約77億円)の取引が行われたが、銀行側は同年にこのクライアントが汚職で訴追されていた事実を知ったにも関わらず、必要な調査を怠った」とした。
FINMAは独立した監査人を立て、同銀行の事業改革をチェックする。
ジュリアス・ベアは声明外部リンクで「南米事業におけるマネーロンダリングとの闘いにおいて、不十分な点があったという(FINMAの)結論を原則として認める」とコメントした。
同行は新しい管理職の起用や過去2年間のグローバルリスク管理システムを強化するなど、すでに是正措置に着手したと述べた。今後は「持続可能な成長へのシフト」に注力していくという。
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行最大手UBSは19日、セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)が今年秋に辞任し、後任にオランダの総合金融機関INGグループのラルフ・ハマーズCEOを起用すると発表した。
もっと読む UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
おすすめの記事
スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマイナス金利政策は、スイス経済全体にとっては利益よりコストの方が大きいと考えられている。個々の企業収支に与える影響は今のところ小さいが、大手金融機関が顧客にマイナス金利を転嫁する動きが広がり、今後はダメージが大きくなる可能性がある。
もっと読む スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
おすすめの記事
クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)の取締役会は、多くの株主の期待に反してティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の退任を決めた。後任はスイス国籍を持ち、現在CSの国内事業を率いるトマス・ゴットシュタイン氏だ。
もっと読む クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
おすすめの記事
クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
このコンテンツが公開されたのは、
内偵スキャンダルに揺れる金融大手クレディ・スイス(CS)は7日、ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。
もっと読む クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
おすすめの記事
スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのプライベートバンク大手ジュリアス・ベア(本店・チューリヒ)のフィリップ・リッケンバッハー最高経営責任者(CEO)は3日、今年、300人を雇用削減すると発表した。昨年の2ケタ台の減益を受け、新たな事業戦略で利益率の改善を狙うという。
もっと読む スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
おすすめの記事
スイスの銀行、マイナス金利の負担は累積9千億円に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がマイナス金利政策を導入した2015年以来、スイスの銀行がSNBに支払った金利は80億フラン(約9千億円)にのぼることが独民間調査会社の調べで分かった。2019年は最も多い20億フランを支払った。
もっと読む スイスの銀行、マイナス金利の負担は累積9千億円に
おすすめの記事
スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
このコンテンツが公開されたのは、
2019年、スイス国立銀行(スイス中央銀行、SNB)は490億フラン(約5兆6千億円)と、過去2番目に大きな黒字を叩き出した。潤沢な資金を背景に、SNBは連邦や州に「大盤振る舞い」する方針だ。
もっと読む スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
おすすめの記事
富裕国スイスに問われるモラル問題
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2020年も好調が続きそうだ。安定した経済、低い失業率に加え、市場急落の可能性も低い。だがこれほど好調であれば、見返りも求められる。新たな年を迎えたスイスには、責任や透明性などモラルの問題が突きつけられるだろう。
もっと読む 富裕国スイスに問われるモラル問題
おすすめの記事
クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
このコンテンツが公開されたのは、
銀行大手クレディ・スイスが、私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させた疑惑が浮上した。取締役会はこの問題に関し調査を始めた。
もっと読む クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
おすすめの記事
クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第2のウェルスマネジメント事業を抱えるクレディ・スイス(CS)の内偵スキャンダルがスイスのプライベートバンク界を震撼させている。CSのウルス・ローナー会長は今回の事件がスイスの金融業界の名声を傷つけたと陳謝した。
もっと読む クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
おすすめの記事
世界初の仮想通貨銀行がスイスで営業開始
このコンテンツが公開されたのは、
世界初の仮想通貨銀行SEBAが12日、スイスのツーク州で開業した。年末までに3ケタの国内口座の開設を狙い、世界展開と1億フラン(約110億円)の資金調達を目標にする。
もっと読む 世界初の仮想通貨銀行がスイスで営業開始
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。