スイス連邦競争委員会(COMCO)は、製薬大手ノバルティス(本社・バーゼル)が競争を防止する目的で特許を不正に使用した疑いがあるとして調査を始めた。
このコンテンツが公開されたのは、
欧州委員会との合同調査で、自社の皮膚疾患治療薬を巡り、競合を追い払うために違法な手段を用いた疑いがあるとしている。COMCOは13日早朝、同社のバーゼル本社を家宅捜索した。
COMCOは声明で、ノバルティスの社名は言明しなかったが「会社は自社の持つ特許の1つを使用して訴訟手続きを開始し、競合製品から皮膚疾患治療薬を保護しようとした疑いがある」とした。
当局は、これがいわゆるブロッキング特許の使用に当たるかどうかを調べる。ブロッキング特許とは、特許権を持つ側が、競争相手の市場参入を阻止することなどを目的として、自らの発明を保護するために研究開発する特許のこと。スイスのカルテル及び他の競争制限に関する連邦法の、支配的地位の乱用に当たる可能性があるという。
ノバルティスは声明で、当局が同社を「訪問」したことを認めた上で、「調査の開始が、いかなる不正行為の認定、あるいは金銭的影響を意味するものではない。同社は当局の調査に全面的に協力し、立場の正当性を明らかにすることに自信を持っている」とした。
同社は金融ニュースサイトAWPに対し、捜索はバーゼル本社のみだと回答した。
英語からの翻訳・宇田薫
おすすめの記事
クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
このコンテンツが公開されたのは、
クレディ・スイスが経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。
もっと読む クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
続きを読む
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの製薬大手ノバルティスは22日、かねて予定されている1400人規模のリストラでは最大5割を管理職が占めることになると発表した。
もっと読む ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
このコンテンツが公開されたのは、
リストラを発表するのは簡単ではない。ノバルティスが先月末に発表したようなマグニチュードの大きいものであればなおさらだ。同社は今後3年で、スイス国内社員の10%に当たる1400人を削減し、グローバルでは10万8千人のうち8…
もっと読む ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
おすすめの記事
ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬会社ノバルティスは、1回約3349万円かかる高額な白血病治療薬キムリアに関する特許の1つを放棄した。スイスのNGOが欧州特許庁に異議を申し立てていた。
もっと読む ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
おすすめの記事
製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は医療現場の救世主になるかもしれない。AIの導入で診断の精度が上がり、管理業務は削減され、医師が患者と向き合う時間が増えるとされる。製薬大国のスイスはAI医療の中心地となる条件がそろっているが、複雑な問題も抱えている。
もっと読む 製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
おすすめの記事
WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブで開かれていた世界保健機関(WHO)の年次総会で、3週間の激しい交渉の末、加盟国が医薬品価格の透明性改善を目指す決議を採択した。ただ当初の目的の1つだった、製薬会社に費用の詳細を開示させることは実現できなかった。
もっと読む WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。