スイス証券取引所を運営するSIXグループは、分散型台帳技術(DLT)を使ったデジタル資産取引の運営許可を得た。
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スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が10日、SIXデジタル取引所(SDX)に営業許可を与えたと発表外部リンクした。
これにより、SDXはブロックチェーンに似たデジタルプラットフォームを使って株式や債券などの有価証券を取引できるようになる。取引で生じる時差が短くなり、取引費用も抑えられる。
SDXの親会社であるSIXグループは声明外部リンクで、世界中の金融機関と共に「世界の流動性を無限に高め、デジタル資産の新たな世界的取引ネットワークを生む」協力関係を築くと表明した。ただし、SDXの稼働時期や取り扱い資産などの詳細は明かしていない。
SIXは昨年12月に日本のSBIホールディングスと提携し、シンガポールにデジタル資産取引所の開設を目指している。
SDX構想は2018年に立ち上がり、翌年に稼働させる予定だったが、FINMAの審査に時間がかかっていた。
SIXの最高経営責任者(CEO)に相当するヘッド・オブ・ビジネスのティム・グラント氏は先週、許可付与を待たずに米暗号資産(仮想通貨)投資企業のギャラクシー・デジタルに引き抜かれた。米金融機関のステート・ストリートの幹部デービッド・ニューンス氏が後を引き継ぐ。
長い道のり
SDXは2019年の初代CEOを始め、「戦略上の違い」を理由に複数の幹部が辞任するなど、険しい道のりを歩んできた。
スイス国内外にはDLTを使った取引プラットフォームが数多く存在する。ドイツ証券取引所は6月、自前のデジタル資産取引所を構築するためスイスのブローカー、クリプト・ファイナンスを買収した。米国やシンガポール、タイ、日本などでも同様のプロジェクトが進んでいる。
スイスの会社・金融法が今年改正され、DLTシステムによるデジタル資産に関する規定が盛り込まれた。DLT証券取引所の新設についても定められたが、SDXはこれとは異なる過程を踏んで営業許可を得た。
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