スイス・リー 大災害の連続ながら利益を計上

2月末に発生したチリの大地震、同時期にヨーロッパ西部を襲った暴風雨「シンシア」は、再保険会社「スイス・リー」に多額の支出を背負わせた。
5月6日の「スイス・リー ( Swiss Re ) 」の発表によると、同社が被害者に支払った保険料は保険料収入の総計を超えた。
自己資本増額
さらに、現在も原油の流出が続いているメキシコ湾の事故でも税引前で約2億ドル ( 約188億円 ) の支出が発生。この事故に対する保険業界全体の費用総額は15億フランから35億フラン ( 約1300億円から2900億円 ) に上るとスイス・リーは試算している。ただし、正確な数字を出すのは難しいという。
同社の保険料収入は、前年同期比13%減の49億7000万ドル ( 約4700億円 ) に落ち込んだ。保険料にかかる経費の割合、つまり同社が支払った保険金+経費と保険料収入の比率を表す「コンバインド・ラシオ ( Combined Ratio ) 」は109.4%となり、昨年の90.2%を大幅に上回る結果となった。コンバインド・ラシオが100%を超えると、支出が収入を超える引受損失が発生していることになる。
だが一方で、利益も1億5800万ドル ( 約149億円 ) を計上し、前年同期の1億3000万ドル ( 約122億円 ) を上回った。債券の査定を改善し、自己資本は約8億ドル ( 約750億円 ) 増の262億ドル ( 約2兆4400億円 ) となった。
自己査定によると、現在スイス・リーは、格付投資情報センター ( R&I ) が行っている保険金支払能力格付けで優良性を現す「AA」に必要な120億ドル ( 約1兆1200億円 ) 以上の資本を有している。金融危機で発生した不良証券が含まれているポートフォリオ「レガシー ( Legacy ) 」もわずかながら利益を計上した。
swissinfo.ch、外電

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