スイスの国民議会(下院)は1日、他国にあるスイス製武器のウクライナ再輸出を認める法案を否決した。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会の安全保障政策委員会が提出した法案は、反対98票、賛成75票、棄権2票で否決された。
下院の同委員会は2月、スイス製武器の再輸出を解禁する2つの議会発議を可決し、上院の委員会もこれを承認した。同発議はドイツ、デンマーク、オランダ、スペインなどによる、自国のスイス製弾薬や武器をウクライナに供与したいという要請を受けたものだった。
しかし下院は1日の本会議で、期限付きで再輸出を解禁する同法案を否決した。
主要政党のうち、下院で最多議席を占める国民党(SVP/UDC)と緑の党(GPS/Les Verts)が同発議に反対していた。SVPのジャン・リュック・アドール副議長は「この発議を受け入れることは、当事者の一方に強く関わることを意味する(…)したがって中立性の侵害となる」と述べ、武器の再輸出容認は長年掲げてきたスイスの軍事的中立の立場を根底から覆すものだとした。
一方、容認派の中央党(Die Mitte/Le Centre)のトーマス・レヒシュタイナー議員は、同発議はウクライナを具体的に助け「スイスがこの紛争に何らかの貢献をしているということを示すものだ」と訴えた。
大統領会談
同日にはモルドバで、欧州政治共同体(EPC)首脳会議に出席したスイスのアラン・ベルセ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が会談を行った。
ベルセ氏はツイッターに「ゼレンスキー氏と戦況や人道・復興支援に関する生産的な会談」を行ったと投稿した。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)によると、両大統領はモルドバで武器再輸出の問題などについても議論。ベルセ氏は「スイスの立場と役割を、ウクライナ側はよく理解してくれている」と述べた。
議会発議の詳しい内容はこちら:
おすすめの記事
おすすめの記事
中立国スイス、ウクライナヘの武器再輸出解禁に向け審議本格化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス下院の安全保障政策委員会は21日、ウクライナへの武器の再輸出を解禁する案を可決した。今後両院の本会議が審議する。
もっと読む 中立国スイス、ウクライナヘの武器再輸出解禁に向け審議本格化
英語からの翻訳:大野瑠衣子
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
ウクライナ侵攻から1年 スイスは戦争でどう変わったか
このコンテンツが公開されたのは、
ロシアのウクライナ侵攻により、スイスはロシアの個人資産没収から自国の中立性の放棄に至るまで、これまで考えられなかったような様々な要求に直面した。だが安定が続いてきたこの国で、変化はどれほど現実的なのか。現状の分析と今後の予測をまとめた。
もっと読む ウクライナ侵攻から1年 スイスは戦争でどう変わったか
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。