スイス金融最大手UBSによる同業クレディ・スイス(CS)の買収について、連邦検察庁(BA/MPC)が調査を開始した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が2日報じた。
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検察庁は、CSの緊急買収で政府関係者、規制当局担当者、両行幹部らによる法令違反がなかったかを調べる。
同庁は「CSを巡る動きには(調査を必要とする)多くの側面があり」、「(検察の)権限対象となる可能性を含んだ犯罪を特定する」ための分析が必要だと述べた。
FTによると、シュテファン・ブレットラー連邦検事総長はすでに政府機関に対し、多くの「調査命令」を出したという。また、検察庁は国や州の政府に接触しており、買収に関わった主要関係者の聞き取り調査を行う見通し。
同庁は、買収交渉のどの側面が調査対象となるかや、調査期間は明らかにしていない。
UBSとCSはコメントを控えた。
「驚くべきこと」
刑法と犯罪学が専門のマーク・ピース・バーゼル大名誉教授は「検察がコメントを発表するのは驚くべきことだ」と言う。ただ、今回の買収劇は「あまりに常軌を逸しているため、何かを言う必要があった」とも述べた。
ピース氏によると、当局による秘密保持義務違反や内部情報に基づく取引が、調査の焦点になっている可能性がある。それに加え、CSが発行したAT1債の無価値化にも問題があるという。
スイスの金融最大手UBSは19日、経営不振に陥った同2位のCSを30億フラン(約4260億円)で買収することに合意した。スイスの金融システムの崩壊を回避するため、同国政府、スイス国立銀行(中銀、SNB)、スイス金融市場監督機構(FINMA)が買収合意を後押しした。
スイスの経済学者を対象とした世論調査では、半数近くがCSの買収は最善策ではなかったと回答し、金融業の中心地としてのスイスの評判を下げたと考えていることが分かった。
ドイツ語圏の日刊紙ターゲスアンツァイガー日曜版は2日、UBSはCSの買収手続きを終えたあと、国内外の全従業員の20~30%に上る人員削減を検討していると報じた。世界で2万5千人~3万6千人、スイス国内だけで1万1千人が対象になる可能性があるとしている。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
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