スイス連邦政府は11日、経済協力開発機構(OECD)と20カ国・地域(G20)加盟国が合意した最低法人税率15%やデジタル課税の導入に向けた憲法改正案を発表した。4月20日まで州や関係団体の意見聴取にかけ、6月の国会審議入り、年内の可決を目指す。
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世界約130カ国は2023年初めに新ルールを導入することで合意している。15%の最低税率は売上高が7億5千万ユーロ(約968億円)以上の企業が対象だ。OECDは各国に増税は求めていないが、例えばA国が15%未満の税率しか課さない場合、B国が代わりに2国で活動する企業から差分を徴税できる。スイスは差分が他国に流れるのを阻止するため、「補完税」を連邦税として新設する。ただ法人税は本来は州の管轄であるため、憲法改正が必要になる。徴税事務は各州が担う。
また企業規模を限定した税体系になることも憲法に明記する。OECDルールは詳細が詰まっていないことから、24年初からの徴税を確実にするため、改正案では連邦内閣に暫定的徴税権を与える。
政府は州や関係団体からの意見聴取後、6月にも連邦議会で審議入りし、年内に可決させたい考えだ。連邦議会を通過した憲法改正法案は強制的レファレンダムの対象となる。24年初に発効させるには、遅くとも2023年6月18日の国民投票にかけることが必要だ。
スイス企業200~300社と外国子会社2~3千社を含む約2500社が最低税率の影響を受けるとみられている。
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