スイスの首都ベルンで19日、ウクライナでの戦争に反対するデモ集会があり、数千人が参加した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がキエフからライブストリーミングで演説した。
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反戦デモ集会「ウクライナと連帯し、今すぐ戦争を止めろ!(Solidarity with Ukraine, Stop the War Now!)」にはスイスのイグナツィオ・カシス連邦大統領も参加した。
ゼレンスキー氏は、スイスがロシアの新興財閥(オリガルヒ)により厳しく対応するよう求めた。オリガルヒが戦争で自国に加担しながらスイスの「美しい場所」で不動産を所有し、のうのうと暮らしていると非難。「これらの特権を彼らから奪うのは公平なことだろう」と訴えた。
ゼレンスキー氏はこれまでスイスを何度も訪れ、その生活水準の高さと自由に感銘を受けたと振り返り、「ウクライナ人にもスイス人のような生活をしてほしいと思っている」と述べた。更に「この悪との戦いの中で、あなたたちもウクライナ人のようになってほしい。そうすれば銀行に関する疑念がなくなる。あなたがたの銀行、この戦争を始めた人々全員の資金が保管されている場所だ」と語った。
同氏はまた「これは苦痛を伴い、困難なことだ」とした上で「これは悪との戦いでもある。彼らのすべての資産と口座を凍結することが必要だ。大きな戦いだが、あなたたちにはそれができる」と呼び掛けた。
中立の伝統を堅持するスイスは欧州連合(EU)に加盟していないが、スイス連邦政府はEUの対ロシア制裁措置を全て踏襲した。
ロイター通信によると、スイス国内の銀行が保有するロシア人顧客の資産は総額2千億フラン(約25兆円)に上ることがスイス銀行協会(SBA)の資産で分かっている。
>ロシア人顧客、スイスの銀行に最大2千億フランの保有資産
このほか、ゼレンスキー氏は「子供たちが殺されているにもかかわらず」スイスの食品大手ネスレがロシア撤退を拒んでいることや、「核の脅迫」を含むロシア政府の欧州への威嚇(いかく)行為を非難した。
「we are one」
ゼレンスキー氏の演説に先立ち、駐スイス・ウクライナ大使がウクライナ人の窮状に対するスイス・欧州諸国の幅広い支援に感謝の意を伝えた。
また、現地にいる自国民や難民への支援活動にも触れ「私たちは1つ(we are one)」と強調した。
その後、ゼレンスキー氏の声がスピーカーから聞こえてくると、デモ参加者から「we are one」の声が上がった。
平和と自由を夢見る
集会に出席したカシス大統領は「親愛なるウォロディミル、これだけ多くの人々が、あなたの国民が孤独でないことを示しにきた。ここにはスイス人、世界各国の人々、そして多くのウクライナ人がいる」と呼び掛けた。またウクライナ人に対する発言の中で「あなたたちを歓迎する」と語った。
カシス氏は更に「私たちは、皆さんが民主主義、自由、平和のために戦う勇気に感銘を受けている。私たちは皆、皆さんがロシアに対抗するために団結していることにも感銘を受けている。しかし何よりも、自由という基本的価値観を守る皆さんの姿に感動している。自由は私たちの基本的価値観でもある」と語った。
それに対しゼレンスキー氏は流ちょうなドイツ語で、スイス国民に向け「私たちの自由と平和のための戦いを支援してくれていることに感謝する」と語った。
「スイスのように、幸福に、平和に、自由に暮らせるようになることが私たち全員の夢だ。あなた方にとっては当たり前のことだが、私たちはこれを成し遂げるために戦わなければならない。私たちはこの道を歩んでいたが、2月24日を機に全てが変わった。私たちウクライナ人にとってだけではない。欧州全体にとっても、だ」
(英語からの翻訳・編集 大野瑠衣子)
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