スイス証券取引所を運営するSIXグループが計画している暗号資産の取引所は、当初予定よりも取引開始時期が遅れている
© Keystone / Christian Beutler
スイスで世界初の公認暗号資産取引所を開設する計画が内部不和に揺れている。プラットフォームの仕様をめぐる意見がかみ合わず、開発責任者のマルティン・ハルプラウプ氏が着任からわずか8カ月で辞任することになった。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループ外部リンクは、SIXデジタル取引所(SDX)外部リンクの開発計画に同氏の辞任による支障はないと説明する。だが、新種の電子資産を取引できる世界初の公式証券取引所になるという野望に打撃を与えかねないとみられている。
SIXの社内向け連絡文書によると、責任者だったマルティン・ハルプラウプ氏は「私はSDX構想やビジネスモデルに完全に同意しており、ぜひ将来のSDXを率いていきたいと思っていた。だが戦略に関するアイデアの相違がある以上、長期的にSDXのトップではいられないと苦渋の決断をした」とコメントした。
最大の相違は、ハルプラウプ氏がSDXを独立した企業としての立ち上げを目指していたことだ。これに対して、SIXの取締役会ではあくまでSIX傘下で運営しようとしていた。
13日付の社内連絡文書によると、9月1日からトーマス・キンドラー氏が暫定的にハルプラウプ氏の後任に就く。ハルプラウプ氏は今年初めに着任したばかりだった。
キンドラー氏はSIXグループ証券・取引部でトーマス・ジープ部長に次ぐ地位にいる。ジープ氏は社内メモで、恒久的な後任を見つけるため「幹部募集」をかけているとし、キンドラー氏も候補に含まれると明らかにした。ハルプラウプ氏はSDXに上級顧問として留まる意向を示しているという。
SDX構想は昨年7月に発表され、当初は今年半ばの運用開始を目指していた。だが計画は後ずれしており、SIXに加盟する銀行との内部的な試験運行を年後半に行ったあと、来年前半の本格運行を予定している。
おすすめの記事
チューリヒ動物園、49歳のアジアゾウを安楽死
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ動物園は12日、49歳の雌ゾウ、セイラ・ヒマリを安楽死させたと発表した。長年、健康上の問題に苦しんでいた。
もっと読む チューリヒ動物園、49歳のアジアゾウを安楽死
おすすめの記事
スイス鉄道、国外へ乗り入れせず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)取締役会長のモニカ・リバー会長は、自社列車で国外に乗り入れないとする同社の決定を擁護した。
もっと読む スイス鉄道、国外へ乗り入れせず
おすすめの記事
命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、30年前から車の後部座席のシートベルト着用が義務付けられている。スイス事故防止協議会(BFU)と連邦統計局の最新データによって、この安全対策の有効性が裏付けられた。
もっと読む 命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年
おすすめの記事
アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望
このコンテンツが公開されたのは、
訪日中のヴィオラ・アムヘルト大統領兼国防相は7日、官邸で岸田文雄首相と会談し、日本・スイス間の自由貿易協定(FTA)改定というスイスの要望を改めて表明した。
もっと読む アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望
おすすめの記事
UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇
このコンテンツが公開されたのは、
国連は5日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が昨年10月7日のイスラム過激派ハマスによるイスラエル襲撃に「関与していた可能性がある」との内部調査を発表した。
もっと読む UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇
おすすめの記事
スイスで小児科医が不足
このコンテンツが公開されたのは、
スイス小児科医協会は医師が足りず、特に地方部で子どもが十分な治療を受けられなくなる可能性があると警告する。背景には柔軟な働き方を求める世代の増加や役所・企業の「官僚主義化」があると批判する。
もっと読む スイスで小児科医が不足
おすすめの記事
コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは現在、新型コロナウイルス感染症が再び流行している。それ自体はさほど深刻ではないものの、ワクチンを受けたくても薬局や診療所に在庫がない事態が発生。背景には7月初めの制度変更がある。
もっと読む コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に
おすすめの記事
スイスで人身取引被害が増加
このコンテンツが公開されたのは、
「人身取引と闘うプラットフォーム(Plateforme Traite)」は2023年、スイスで197件の人身取引(人身売買)事案を記録した。前年比で11%増加した。
もっと読む スイスで人身取引被害が増加
おすすめの記事
スイス最高裁、中期中絶に父親の発言権認めず 「被害者ではない」
このコンテンツが公開されたのは、
妊娠中期に中絶した女性を元恋人の男性が告訴した事件で、スイスの連邦裁判所(最高裁)は25日、男性は「被害者」に当たらないとして訴えを却下した。
もっと読む スイス最高裁、中期中絶に父親の発言権認めず 「被害者ではない」
おすすめの記事
「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人の半数が、打ち上げ花火は8月1日の建国記念日に欠かせないと考えていることが最新の調査で分かった。しかし、回答者の大多数は個人での花火打ち上げに反対している。
もっと読む 「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査
続きを読む
おすすめの記事
スイス・EUが株式市場の相互乗り入れを禁止 影響は?
このコンテンツが公開されたのは、
欧州連合(EU)は1日から、スイスをEU株式市場から締め出した。報復措置としてスイスはEU株式市場でのスイス株取り扱いを禁止。二国間条約交渉をめぐる緊迫は混迷を深めてきた。
もっと読む スイス・EUが株式市場の相互乗り入れを禁止 影響は?
オピニオン
おすすめの記事
仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ツーク州にはフィンテック関連企業が多く進出し、「クリプトバレー(暗号の谷)」と呼ばれている。各国当局が暗号(仮想)通貨ビジネスの振興と規制の間で揺れるなか、両者のバランスを取りながらクリプトバレーの成功に賭けるスイスの姿勢は注目に値する。
もっと読む 仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
おすすめの記事
スイス行政裁、SIXグループに7.6億円支払い命令
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦行政裁判所は22日、スイス証券取引所を運営するSIXグループが支配的市場地位を乱用したとして700万フラン(約7億6千万円)の課徴金支払いを命じた。
もっと読む スイス行政裁、SIXグループに7.6億円支払い命令
おすすめの記事
スイス証券取引所、デジタル資産の取引所を新設へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは2019年、仮想資産を取引する「SIXデジタル取引所」を開設する。新しい取引所で何ができるようになるのか、スイスの仮想通貨業界への影響は?ポイントをまとめた。
もっと読む スイス証券取引所、デジタル資産の取引所を新設へ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。