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国際競争力ランキング、カギは技術革新 スイスは4位に後退

パネル製造所の従業員たち
アイディア創出から製品をつくり、商品化するまでのイノベーションプロセスでは、世界的に弱さが露呈した Keystone

ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF、本部ジュネーブ)は17日、2018年の国際競争力ランキングを発表した。新しい指標の適用で、急速な技術革新に世界経済が対応しきれていないことが浮き彫りとなった。9年連続で1位だったスイスは4位に順位を落とした。日本は5位に上昇した。

米国は「競争力のあるフロンティア」に最も近い存在としてランキング1位に返り咲いた。その一方でWEFは、調査の対象となった140カ国・地域の4分の3以上で技術革新能力の欠如が競争力に悪影響を及ぼしているとし、今後、それが足かせにならないよう国が対策をとる必要があると警告した。

変わる「競争力」の概念

WEFは今回のランキング外部リンクで評価方法を見直した。これから政府や企業の新たな課題となっていく第4次産業革命を定義し、技術革新やデジタル技術が急速に進む現代を反映させた指標を適応させた。(インフォボックス参照)

アイディアの創造、起業文化、開放性や変化に即応できる機敏性といった点は、将来の競争力推進に大きな影響を与えるとされる。しかしこれらの点はこれまでの主要な政策決定では重要視されてこなかった。

競争力指標(バージョン4.0)

1979年のインデックス開始以来、今回行われた4回目の見直しでは主に技術革新やデジタル技術が急速に進む現代を反映するため、経済競争力を新しく定義する指標が採用された。98種類の指標のうち6割は新規。経済が未来に対応する準備ができているか、社会資本金、破壊的なビジネスを生む潜在性、インターネットの利用といった項目が新たに加わった。各指標を0から100のスコアで評価し、各国の経済がどれだけ理想的な競争力の「フロンティア」に近い状態かを比較した。

「競争力のフロンティア」とは

スイスの総合ランキングは米国、シンガポール、ドイツに続き4位で、その後に日本が続いた。これまでの指標(バージョン3.0)によるランキングでは、スイスは9年連続で1位だった。今回順位が落ちたのは、スイスの競争力の低下というよりむしろ、評価方法が変わったことに起因している。 

指標別にみるとスイスは「イノベーション力」の分野で比較的善戦し、米国、ドイツに次ぐ3位。「国際共同発明」の項目では1位に、「複数の関係者との連携」の項目では2位だった。

アイディア創出から製品をつくり、商品化するまでのイノベーションプロセスでは、世界的に弱さが露呈した。この項目を評価するインデックス100のうち50に満たない国は103カ国に及んだ。

スイスはまた、「労働市場」の項目で抜きんでており、職業技術は世界で最高レベルを誇る。効率の良い鉄道サービスや安定した水の供給などインフラが整っていることもスイスの強みとなった。

ただし、市場の開放性はあまり芳しくない。企業が市場に参加し公平に活躍する場を与えているかを表す「製品市場」の分野でスイスは16位。また「関税の複雑さ」の項目でスイスは最下位、「関税」の項目では48位だった。

ここ数カ月の間、スイス政府の最優先事項は新しい貿易交渉だった。今週、米国との自由貿易協定の可能性について協議を行うため、スイスの貿易外交官はワシントンを訪れた。また、ヨハン・シュナイダー・アマン経済相も南米南部共同市場(メルコスール)と欧州自由貿易連合との自由貿易に関する交渉を行っている。

(英語からの翻訳・シュミット一恵)

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