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クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺

Credit Suisse chairman Urs Rohner
クレディ・スイスのウルス・ローナー会長は1日の記者会見で内部調査の結果を説明した Keystone / Ennio Leanza

スイス第2のウェルスマネジメント事業を抱えるクレディ・スイス(CS)の内偵スキャンダルがスイスのプライベートバンク界を震撼させている。CSのウルス・ローナー会長は今回の事件がスイスの金融業界の名声を傷つけたと陳謝した。

CSはライバル行UBSに移るウェルスマネジメント部門の元責任者イクバル・カーン氏を、私立探偵を使って尾行。カーン氏がCSの顧客をUBSに誘導しないか監視していた。CSに代わって私立探偵を雇っていた請負業者の男性が自殺していたことも明らかになっている。(詳しくは記事末尾の年表を参照)

ローナー氏は1日の記者会見で陳謝。内偵を指示したピエール・オリヴィエ・ブエ最高執行責任者(COO)が引責辞任し、ブエ氏から指示を受けたグローバルセキュリティ部門の責任者も辞任した。

ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)は事件に関与していないとして残留。ただ一連の出来事がクレディ・スイスの評判をどれだけ傷つけたかは未知数だ。

世界の富裕層から資産を預かるには、高い信頼と堅実さ、洗練されたサービスが欠かせない。企業上層部の対立や従業員の大人気ない不和、下品な尾行が詳しく報道されたことで、CSのそれらは地に落ちた。CSは報道内容の一部に異議を唱えてはいるものの、公共の目にさらされている汚点を隠すことはできない。

取締役会が経営陣を律することができず、熱意のありすぎる経営トップの行動に気づかなかったという事実も、信頼の回復には逆風となっている。

CSのプライベートバンキング部門の規模は過大評価できない。国外ウェルスマネジメント部門(主にプライベートバンキング)は昨年、17億フランの収益(税引き前)を上げた。グループ全体の収益総額34億フランを支える屋台骨だ。

長期的なダメージ?

同行の大株主、ハリス・アソシエイツ(本社・シカゴ)のデビット・ヒーロ副会長は先月、「CSが自行を守るために必要な法的措置を全面的に支持する。この問題に関して経営幹部が辞任すれば、CSや利害関係者に損害を与えると案じている」と話していた。

CSの株価外部リンクはスキャンダルがスクープ外部リンクされた先月20日以来低迷しているが、現時点で大暴落には至っていない。

CSやその他のスイスの銀行は近年、数々のスキャンダルが相次ぎ発覚している。時には司法問題に発展し、有力幹部が辞任に追い込まれた。

今回のスキャンダルも致命的な不名誉となり、CSの評判が大きく傷ついた。自殺者が出たことで事件はさらに悲惨になっている。だが進行中の警察捜査でさらなる不正の事実が明らかにならない限り、CSは水面下に沈む事態は避けられそうだ。

内偵スキャンダルの経緯

7月1日:クレディ・スイス(CS)がイクバル・カーン氏の辞任を発表。同氏は国外ウェルスマネジメント部門の責任者をほぼ4年務めてきた。カーン氏は有給消化期間に入る。

カーン氏の辞職発表後、CSのピエール・オリヴィエ・ブエ最高執行責任者(COO)が民間警備会社Investigoに対し、CSの顧客をUBSへの移動を誘導していないかどうか監視するため、カーン氏の尾行を依頼。

8月29日:ライバル銀行のUBSがカーン氏を採用すると発表。

9月4日:Investigoがカーン氏の尾行を開始

9月17日:尾行されていることに気付いたカーン氏と私立探偵が、チューリヒの裏通りで激しい口論に

9月20日:スイスの金融ブログInside Paradeplatz外部リンクがスキャンダルをスクープ。カーン氏が刑事告発していたことも明らかに。

9月24日:CSがスイスの法律事務所に事件の調査を依頼。

9月28日英フィナンシャル・タイムズ紙が、チューリヒ湖畔にあるティージャン・ティアムCEOの自宅の隣にカーン氏が引っ越してきたことで2人の間柄が悪化したと報じる。

9月30日Inside Paradeplatz外部リンクが、カーン氏を尾行する探偵を雇った請負業者の男性が自殺したと報じる。

10月1日:CSが内部調査の結果を公表し、ブエCOOとグローバルセキュリティ部門責任者の引責辞任を発表。従業員や株主、顧客、カーン氏に謝罪し、ブエ氏の後任にジェームズ・B・ウォーカー氏を任命。カーン氏がUBSに入行。

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このコンテンツが公開されたのは、 銀行大手クレディ・スイスが、私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させた疑惑が浮上した。取締役会はこの問題に関し調査を始めた。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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