スイスの視点を10言語で

ラクレットチーズの発祥地 知らなければ非国民

ラクレットチーズ
ラクレットの発祥の地はどこか?正解は「ヴァレー州」だ Keystone

チューリヒでカフェを営むイギリス人男性が、スイス国籍の取得申請を却下された。理由は「ラクレットチーズが生まれた州を知らなかったため」だ。

 帰化手続きを却下されたのはフィリプ・スミスさん(仮名、43)。ドイツ語圏の大衆紙ブリックに、スイスの帰化手続きに対する不満を吐露した。スミスさんは母国語の英語のほか、ドイツ語とフランス語を自由に操る。幼い頃からスイスに住み、犯罪記録もなく、スイスの金融機関で数年間働いた経験もある。スイス生まれの6歳の息子を育てながら、最近チューリヒにカフェを開店した。

 これだけの経歴があるにもかかわらず、スミスさんの帰化申請は却下された。地元フライエンバッハ(シュヴィーツ州)で受けた面接で、ラクレット外部リンクがフランス語圏発祥であることは知っていたが、具体的な州の名(ヴァレー州)を答えられなかったためだ。スイス・チャードを使ったロマンシュ語圏の郷土料理、カプンス外部リンクも知らなかった。

≫スイス国籍の取得方法Q&A

≫国籍取得に必要な「インテグレーション」とは?
 
 スミスさんは、「確かに私は完璧ではない」と話す一方で、スイスに関する厳しい筆記試験には合格したと主張する。スイスで人生の大半を過ごし、外国人としてではなく住民の一人として、スイスにうまく統合しているとも述べた。

 自治体との面接は「非公式な会話」にすぎないと言われたが、実際は口答試験に近いものだったという。「同伴が必要だった私の息子も質問された」(スミスさん)

 フライエンバッハ役場はスミスさんが「スイスの習慣や伝統に関する知識が不足している」と報告し、詳細なコメントを拒否した。

※本記事は2022年5月17日、本人の希望により匿名化しました。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

株価ボード

おすすめの記事

スイス株式相場、初めて1万3000の大台に

このコンテンツが公開されたのは、 スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。

もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
ゼンティス山の山岳ケーブルカーとスイス国旗

おすすめの記事

ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ

このコンテンツが公開されたのは、 東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。

もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部