生活必需品以外の産業は、一定の条件下で生産停止を命じられる可能性がある
© Keystone / Alessandro Della Valle
スイス連邦内閣は27日、新型コロナウイルスの感染被害が深刻な州に対し、州が特定の産業活動の制限・停止を講じることを認める特例措置を発表した。一部産業の生産を一律に停止する措置を講じたティチーノ州に配慮した。ただ特例措置の適用には条件を設けた。
このコンテンツが公開されたのは、
政府の声明外部リンクによると、感染症の拡大により住民の健康に危険が生じると判断される場合は、内閣は州が域内産業の一時的な制限・停止を命じることを認める。ただ従業員がお互いに一定の距離を空ける社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)や適切な衛生基準を満たした企業は事業を継続できる。
特例措置が認められるのは、その州が他の州の支援を受けてもなお、医療機関が飽和状態の場合。さらに停止命令の対象となる産業が政府の感染予防策を順守できず、越境労働者が来ないために生産機能が維持できないなどの状況にあることが条件となる。日用品や医薬品は対象から除外される。
これらの条件を満たさず、州が産業停止命令を強行した場合は国からの短期労働補償が支給されない。
イタリアと国境を接するティチーノ州は22日、食品や医薬品など生命の維持に関わる製品以外の産業生産を、少なくとも1週間禁じると発表した。これに対し連邦司法省司法局は、産業生産を一律に停止するティチーノ州の決定は政府の措置に反し「連邦法違反だ」との見解を示していた。
ティチーノ州の産業停止命令をめぐっては、機械・電気・金属産業連盟「スイスメム(Swissmem)」のハンス・ヘス会長が「国内の供給に問題が生じる」と批判していた。
またウーリ州は19日、65歳以上に事実上の外出禁止令を出したが、連邦内閣が翌日の会見で「国として外出禁止令は出さない」と明言したことを受け、その後撤回した。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。
もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
おすすめの記事
ジュネーブ空港、遅延対策で割増料金を導入へ
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ空港は騒音対策のため、割当て制度を導入する。午後10時以降に離陸するフライトに割増料金を課す。
もっと読む ジュネーブ空港、遅延対策で割増料金を導入へ
おすすめの記事
スウォッチ1~6月期売上高14.3%減 中国の需要低迷が重荷に
このコンテンツが公開されたのは、
スウォッチが15日発表した1~6月の純売上高は34億5000万フラン(約6070億円)と、前年同期比で14.3%減った。中国の高級品需要の落ち込みが、スイス時計業界全体の重荷になっている。
もっと読む スウォッチ1~6月期売上高14.3%減 中国の需要低迷が重荷に
おすすめの記事
トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
このコンテンツが公開されたのは、
ドナルド・トランプ前大統領が13日に銃撃された事件を受け、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は「政治的な暴力は容認できない」と訴え、一日も早い回復を祈った。
もっと読む トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
おすすめの記事
ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部を中心に発生した大規模な洪水の影響を受け、ツェルマット~ディセンティス間を結ぶマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)は、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休するとの見通しを明らかにした。
もっと読む ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
おすすめの記事
スイスが対ロシア制裁リストを拡大
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは対ロシア制裁リストを拡大した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、欧州連合(EU)が決定した変更を採用した。
もっと読む スイスが対ロシア制裁リストを拡大
おすすめの記事
AIによる失業懸念、スイスは最低
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は日々の仕事に影響を与えている。スイスでは、多くの人たちが仕事を含めAIを使っているが、この新しいテクノロジーのせいで仕事を失うと心配している人は比較的少ないことが最新の調査で分かった。
もっと読む AIによる失業懸念、スイスは最低
おすすめの記事
核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの市民団体「核兵器禁止を求める同盟」は、国連核兵器禁止条約への加盟を求めるイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。必要な署名が集まれば国民投票が実施される。
もっと読む 核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
おすすめの記事
スイス民族衣装祭りに観光客10万人
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒで6月28~29日、連邦民族衣装祭りが14年ぶりに開催され、延べ約10万人の観客が訪れた。
もっと読む スイス民族衣装祭りに観光客10万人
おすすめの記事
クレディ・スイスのスイス法人が消失
このコンテンツが公開されたのは、
スイス二大銀行だったUBSとクレディ・スイスの現地法人の合併が1日、完了した。今後スイス国内でも「クレディ・スイス」の看板撤去が進むことになる。
もっと読む クレディ・スイスのスイス法人が消失
おすすめの記事
スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの平均寿命は2023年時点で女性85.5歳、男性82.2歳と、過去最高記録を更新した。
もっと読む スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
続きを読む
おすすめの記事
新型コロナ後の人の動き、携帯端末データで分析 スイス政府
このコンテンツが公開されたのは、
政府の要請で通信大手スイスコムが利用者の携帯電話端末位置データを収集し、政府の外出自粛要請などがどれだけ守られているかを検証していたことが分かった。データは24時間前のもので、匿名化もされているが「プライバシー侵害につながるのでは」との懸念も上がる。
もっと読む 新型コロナ後の人の動き、携帯端末データで分析 スイス政府
おすすめの記事
スイスの新型コロナ対応 国民はどう評価?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民の4割は連邦政府の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う行動制限などに賛意を示している。スイス公共放送協会(SRG SSR)の実施した世論調査で分かった。
もっと読む スイスの新型コロナ対応 国民はどう評価?
おすすめの記事
スイスの新型コロナ1カ月 政府はどう対応したか
このコンテンツが公開されたのは、
先月25日、スイス国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから1カ月が経った。連邦政府や州はこの間、どのような対策を取ってきたのか。
もっと読む スイスの新型コロナ1カ月 政府はどう対応したか
おすすめの記事
新型コロナで需要急増 対応に追われるスイスのスーパー
このコンテンツが公開されたのは、
米が品切れ?トイレットペーパーが品薄?実は、数カ月は持ちこたえる十分な在庫がスイスにはある。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、急増する買い物客の需要を満たすため、スーパーや小売業は多くの時間外労働を余儀なくされている。
もっと読む 新型コロナで需要急増 対応に追われるスイスのスーパー
おすすめの記事
死に至る伝染病に襲われたツェルマットの過去
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスが流行するよりずっと前の1963年、スイスのリゾート地ツェルマット(ヴァリス州)でチフスの一種が流行した。437人が感染し、うち3人が死亡した。今のスイスと同じように、ホテルやバー、レストラン、スキー場が閉鎖された。
もっと読む 死に至る伝染病に襲われたツェルマットの過去
おすすめの記事
新型コロナ 弱体化する抗生物質市場に追い打ち
このコンテンツが公開されたのは、
新型肺炎(COVID-19)の特効薬の開発に資金がつぎ込まれる中、このパンデミックが抗生物質の問題を悪化させる可能性がある。世界的な医療専門家らは、これまで放置されてきた薬剤耐性菌の問題が患者の治療をより困難にする恐れがあると警告する。
もっと読む 新型コロナ 弱体化する抗生物質市場に追い打ち
おすすめの記事
スイスのコロナ対応 企業に無利子で融資
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済危機から国内の中小企業を救うため、50万フラン(約5700万円)まで無利子で融資する制度を設けた。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)も銀行を後方支援する枠組み「COVID-19リファイナンス・ファシリティー(CRF)」を立ち上げた。
もっと読む スイスのコロナ対応 企業に無利子で融資
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。