統計のデータは「氷山の一角」に過ぎない
Keystone
スイスでは年間3万~5万人の児童虐待が報告されていることが、民間機関の調査外部リンクで明らかになった。スイスの子供人口の2~3.3%が虐待を受けていることになる。22.4%がネグレクト(育児放棄)、20.2%が身体的虐待、19.3%が心理的虐待、18.7%が配偶者への家庭内暴力の目撃、15.2%が性的虐待だった。
このコンテンツが公開されたのは、
UBSオプティムス基金外部リンク(チューリヒ)が2016年9月~11月に児童相談所や病院、警察など国内の児童保護関連機関に報告された虐待の件数を集計。件数や内容、児童保護機関からどのような支援を受けたかを分析した。報告書によると、虐待の内訳や支援内容に関する体系的な調査は初めて。同基金が聞き取り調査を依頼した431機関のうち、約8割の351機関がデータの提供に応じた。
調査によると、子供人口1万人当たりの虐待報告件数はチューリヒ地域、ジュネーブ州を含むスイス南部の件数の多さが目立った。
同基金はプレスリリースで、この報告件数の多さを「警鐘」として刻むべきだと指摘した。
氷山の一角
報告書は、関連機関に報告された事例のみを集計したため、数字は「氷山の一角」にすぎない可能性が高いと明記した。
また児童保護サービスが「本当に必要な支援を提供できているとはいえない」ことや、支援の内容に地域格差があることも指摘した。
おすすめの記事
スイス、シェンゲン域外の訪問者のデータを収集へ
このコンテンツが公開されたのは、
シェンゲン協定域外の旅行者のデータは、スイスを含む加盟国の国境で今後、自動的に記録される。
もっと読む スイス、シェンゲン域外の訪問者のデータを収集へ
おすすめの記事
スイス議会、新聞配達費用の補助金を引き上げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)の委員会は4日、新聞の配達費用の補助金を引き上げる内容の郵便法改正案を提出した。
もっと読む スイス議会、新聞配達費用の補助金を引き上げ
おすすめの記事
賃金分析「罰則・対象拡大が必要」 スイス労働団体
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの労働組合など52団体が3日、政府に男女賃金差別を撤廃するための法制強化を求める公開書簡を発表した。
もっと読む 賃金分析「罰則・対象拡大が必要」 スイス労働団体
おすすめの記事
スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が3日発表した2024年度決算確報は、807億フラン(約13.5兆円)の黒字だった。速報時点の見込み通り、連邦政府・州に30億フランを配当する。
もっと読む スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
おすすめの記事
スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。
もっと読む スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
おすすめの記事
スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は3日の国連人権理事会(HRC、本部・ジュネーブ)で、ドナルド・トランプ米大統領が連邦・州レベルの死刑制度を強化する大統領令に署名したことを「深く懸念している」と表明した。
もっと読む スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
おすすめの記事
スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は24日、鉄道橋の構造安定性を評価する人工知能(AI)ツールを開発したと発表した。
もっと読む スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
おすすめの記事
スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。
もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
おすすめの記事
ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
このコンテンツが公開されたのは、
東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。
もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
続きを読む
おすすめの記事
スイスのネット児童ポルノが増加
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで児童ポルノの疑いがあるケースが増え続けていることに対し、児童虐待に取り組むNGOが懸念を表明した。
もっと読む スイスのネット児童ポルノが増加
おすすめの記事
教育現場の性暴力 約100人の教師がブラックリストに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスには教師のブラックリストが存在する。現在リストに載っている95人の多くは性犯罪を理由に教員免許を取り上げられた小学校の教師だ。しかし、すべての州が問題のある教師を報告しているわけではない。
もっと読む 教育現場の性暴力 約100人の教師がブラックリストに
おすすめの記事
5人に1人が両親からの体罰を経験
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの子どもの5人に1人が両親から体罰を受けていることが明らかになった。とりわけ貧困層や移民の間で深刻な問題となっている。
もっと読む 5人に1人が両親からの体罰を経験
おすすめの記事
政府の補償、多くの被害者が申請を断念 スイス政府に自由を奪われた子供たち
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで1970年代まで、貧困や家庭環境が劣悪などを理由とした行政の強制保護措置で子供たちが親元から引き離され、引き取り先で虐待や重労働を強いられていた問題で、政府の補償制度がようやくスタートした。しかし被害者の多くはつらい思い出を掘り起こされるのを嫌がり、申請を断念している。
もっと読む 政府の補償、多くの被害者が申請を断念 スイス政府に自由を奪われた子供たち
おすすめの記事
スイスで最も嫌われている公的機関「児童・成年者保護局」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの公的機関の中で最も批判され、また最も嫌われているのは、2013年に設立された専門機関「児童・成年保護局」だ。一部の市民は同局に異議を唱えるために国民発議に乗り出した。
もっと読む スイスで最も嫌われている公的機関「児童・成年者保護局」
おすすめの記事
スイスで最も嫌われている公的機関「児童・成年者保護局」を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
2013年に新設された公的機関「児童・成年者保護局(KESB/APEA)」。国内ドイツ語圏のメディアによる否定的な報道が災いし、この後見局は人々の目の敵にされるようになってしまった。実際、同局ではどういった業務が行われているのか。
もっと読む スイスで最も嫌われている公的機関「児童・成年者保護局」を訪問
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。