クレディ・スイスの金庫。スイスの銀行にはその秘密性を求めて多くの海外資産が集まる
Keystone
英国の非政府組織(NGO)「タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)外部リンク」は30日、スイスが世界で最も秘密の守られる金融センターであるとの報告書を発表外部リンクした。
このコンテンツが公開されたのは、
TJNは税情報の透明化に向け啓発活動を行うNGOで、およそ2年に1度「金融秘密度指数(Financial Secrecy Index)外部リンク」を公表している。2018年はスイスが前回に続きトップに立ち、米国、英領ケイマン諸島、香港、シンガポール、ルクセンブルグ、ドイツ、台湾、アラブ首長国連邦(UAE)、英領ガーンジー島が続いた。日本は13位。
報告書はスイス外部リンクが海外資産の運用で世界トップに座し、米欧などの圧力を受けてこの数年で銀行秘密について大きな改善を遂げたとした。
一方、「スイスは対国家というより銀行に対する圧力を受け、銀行秘密の放棄に舵を切った。その姿勢は『裕福で強い国には綺麗なカネを、脆弱な途上国には汚いカネを』と要約できる。スイスは必要に応じて富裕国には納税者の情報を交換するが、貧困国に対しては納税回避の手助けをし続ける」とも記した。スイスが金融告発者を執拗に追及していることも批判した。
スイス銀行家協会によると外部リンク、スイスの銀行は6兆6500兆フラン(約770兆円)の資産を管理し、その48%は海外から流入したもの。
同指標は、信託や基金の所有者に関する情報をどのくらい公開しているか、マネーロンダリング(資金洗浄)に関するルールをどれだけ遵守しているかなど、様々な尺度で各国の銀行秘密の高さを調べている。今回の調査対象は110カ国。
swissinfo.ch/sb
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
続きを読む
おすすめの記事
スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)が、国際的な不正取引に関わったとして金融当局の勧告処分を受けた。ただ営業停止や罰金などの処分がなかったことに首をかしげる専門家もいる。
もっと読む スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
おすすめの記事
「パラダイス文書」で浮上したスイスの大物たち
このコンテンツが公開されたのは、
タックスヘイブン(租税回避地)をめぐる膨大な量の投資関連データがリークされた。いわゆる「パラダイス文書」の関係者にはスイスの政治家や企業経営者、企業も含まれている。これまでのところ、違法行為を証拠づけるものは何もない。
もっと読む 「パラダイス文書」で浮上したスイスの大物たち
おすすめの記事
ペーパー会社設立に関与した「仲介役」、どの国や地域がトップ?
このコンテンツが公開されたのは、
タックスヘイブンにペーパー会社を設立する手助けをした「仲介役」は世界中でどれほどいるのだろうか?下のマップをみると香港(4902)、英国(2106)、米国(1540)のほか、スイス(1339)にも多くいることが分かる。…
もっと読む ペーパー会社設立に関与した「仲介役」、どの国や地域がトップ?
おすすめの記事
「パナマ文書」スキャンダル、元告発者が経験を告白
このコンテンツが公開されたのは、
「パナマ文書」スキャンダルはタックスヘイブン(租税回避地)を止められない パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した約1100万点におよぶ資料によると、オフショア銀行の主な利用者は、スイスの銀行(クレディ・…
もっと読む 「パナマ文書」スキャンダル、元告発者が経験を告白
おすすめの記事
銀行の守秘義務の終焉、スイス国内で税の透明化を図る
このコンテンツが公開されたのは、
スイスが固く保持してきた銀行の守秘義務。国際レベルでは過去のものとなりつつある一方、国内では守秘義務のおかげで納税者が税務署から銀行口座を隠すこともできる。だが、それも長く続かないかもしれない。伝説的なスイスの銀行守秘義務を廃止すべきだという圧力が高まっているからだ。
もっと読む 銀行の守秘義務の終焉、スイス国内で税の透明化を図る
おすすめの記事
銀行の秘密保持イニシアチブ、撤回
このコンテンツが公開されたのは、
スイス在住者のために銀行の秘密保持を憲法に明記しようという提案にひとまず決着がついた。国民発議(イニシアチブ)が不発に終わった理由は、政府が脱税者に対し刑法上の罰則を強化する計画を断念したためだ。
もっと読む 銀行の秘密保持イニシアチブ、撤回
おすすめの記事
秘密口座を整理するなら今がチャンス!?
このコンテンツが公開されたのは、
海外に秘密口座を持つスイス人は自主申告したほうがよい。事情によっては処罰を免れるためだ。連邦納税事務局の説明によると、1年後では手遅れになる。
もっと読む 秘密口座を整理するなら今がチャンス!?
おすすめの記事
銀行口座情報自動交換、OECDはFATCAに準拠
このコンテンツが公開されたのは、
経済協力開発機構(OECD)が米国の外国口座税務コンプライアンス法に対応する形で多国間自動情報交換モデルを構築している。「スイスも含む加盟国が脱税の手助けをしていると疑われないようにするのが狙いだ」とOECD租税政策・財務行政センターのディレクター、パスカル・サン・アマン氏は言う。
もっと読む 銀行口座情報自動交換、OECDはFATCAに準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。