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スイス政府、「公正価格」実現に向け独占禁止法の改正案を発表

スーパーの陳列棚
スイスでは欧州諸国よりもたくさんのお金を日用品の買い物に費やす人が多い Keystone

連邦政府は22日、国内外の大きな輸出入企業による価格吊り上げをやめさせる国民発議「公正価格イニシアチブ」への対案をまとめた。

 イニシアチブ(国民発議)の提起者らは、裁判所がスイス企業の価格の決め方を検討し、顧客の住む国によって販売条件やサービスに差をつける「地理的な制限(ジオ・ブロッキング)」を禁止することによって、スイス国外の安価なオンラインショッピングを妨害する企業を違法行為とするよう求めている。

≫「公正価格イニシアチブ」とは?

≫スイスの物価、どれだけ高い?

  政府はイニシアチブについて、やり方は極端だが原則としては理に適っているとみて、対案を発表外部リンクした。

 政府も、外国企業がスイスへの輸出品に「スイス価格」を上乗せしていることを問題視。独占禁止法を改正し、独占企業や価格を設定する力の強い企業に対し、スイス企業にスイス外のサプライチェーンにアクセスさせるように義務付ける。これによってスイス企業は並行輸入できるようになり、国内で価格競争が起きるとにらむ。

 政府は、スイス企業の購買力を高め輸入競争力をつける公正価格イニシアチブの目標と目指すところは同じだと主張する。一方、国内市場だけで取引する企業を規制の対象にしても意味がないと考える。

 イニシアチブと異なるのは、対案はジオ・ブロッキングの禁止には踏み込んでいないことだ。オンライン販売で、自国より安価で買い物ができる販売は妨げる。

 政府の対案は11月22日まで意見公募にかける。イニシアチブはさまざまな政治集団に支持を得ているが、政府はイニシアチブを否決するよう推奨している。

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