外国スパイによるスイスでの会合数が急激に増えている。一方、スイスの連邦情報機関(NDB/SRC)外部リンクも監視の目を光らせる。
このコンテンツが公開されたのは、
日曜紙NZZ・アム・ゾンタークが4日、報じた。外国のスパイがスイスで会合する数は、秘密情報への需要の高まりとともにこの数年「爆発的に増えている」(匿名の情報提供者)。諜報員らに海外での新たなミッションを与えたり、報酬の支払いや情報収集をしたりするのにスイスで会合を開くという。
スイスがスパイ会合の聖地となっているのは、ヨーロッパの中心に位置する地理的要因や、交通網などのインフラ、警察の調査の緩さなどが背景にある。
同紙は「彼らは一般人と変わりない外見で、むしろ他の人より目立たない。チューリヒのホテルのロビーやベルンの大使館関係の建物、ジュネーブの会議場に集う。偽の身分証明書で生活し、いわゆるコードネームで呼び合う」と解説した。
NDBはこうした会合の存在を把握している。NDB広報のイザベル・グラーバー氏は「会合の存在を暴いたり開催を阻止したり、少なくとも妨害する」よう試みているとコメント。各国の関連機関と協力して監視に当たっているという。
グラーバー氏は「友好関係にある国の利益に反する人物がスイスで会合を持つことは、スイスの利益に反する」と話す。「スイスと同じように、友好国が自国内でスイスの利益に反するスパイ活動が行われないように努力してほしい」
スイスは2016年、NDBに私的な電話の傍受やサイバー空間の監視をする権限を与える諜報活動強化法案を国民投票で可決。17年9月に発効した。
swissinfo.ch/jc
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
テロに備え諜報活動を強化する新法、国民は承認するか?
このコンテンツが公開されたのは、
パリの同時多発テロ事件などを受け、スイスはテロの脅威に備えるために諜報活動を強化する新しい法律を作成した。これは、昨年秋に連邦議会を通過したものの、左派を中心とした反対派が国民投票にかけるのに必要な5万人分の署名を集め、レファレンダムとして提案。9月25日の国民投票で是非が問われる。反対派は、もし新法が承認されれば、アメリカ国家安全保障局(NSA)のような、個人に対する過剰な監視が行われるだろうと危惧する。
もっと読む テロに備え諜報活動を強化する新法、国民は承認するか?
おすすめの記事
諜報活動の新法案、下院で可決 自由の保障と国家安全保障の均衡は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦議会の上院で先週17日、連邦情報機関に今まで以上の諜報活動を許す新法案が可決された。これは安全保障上の懸念からだが、一方で「スパイ活動」を監視する独立機関を加えるなどしてバランスも取っている。新法案は、こうした要素が加わったため再び下院に戻されるが、たとえ下院で可決されても、新法案の「行き過ぎ」を懸念する左派政党などが、国民投票にかける可能性は残る。
もっと読む 諜報活動の新法案、下院で可決 自由の保障と国家安全保障の均衡は?
おすすめの記事
スイスのテロ防御力は十分か?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)や各空港、さらにはチューリヒのオペラハウスなど、テロ保険に加入する企業がスイスで増加中だ。一方で、テロなどによる深刻な損害に備えた国の救済措置はまだ存在しない。
もっと読む スイスのテロ防御力は十分か?
おすすめの記事
ホテル ベルヴュー・パレス、その伝説と歴史
このコンテンツが公開されたのは、
1913年にベルヴュー・パレスがベルンに開業してから、今年で100周年を迎える。その間、世界中の王族や政府首脳、芸術家たちが、新古典主義様式で装飾された円柱の間を優雅に歩き回った。だがこのホテルは一方で、秘密諜報員たちの滞在先でもあり、また時としてスイス閣僚の命運をかけた、駆け引きの場ともなっていた。
もっと読む ホテル ベルヴュー・パレス、その伝説と歴史
おすすめの記事
ジェームズ・ボンド スイスの血を引く広告塔
このコンテンツが公開されたのは、
1962年10月5日。スクリーンに映るのは、ベルン郊外オスタームンディゲン(Ostermundigen)出身の若い女性。きつめの白いビキニにナイフをはさんだ彼女が海の中から現れるシーンで、映画館の観客は度肝を抜かれた。 …
もっと読む ジェームズ・ボンド スイスの血を引く広告塔
おすすめの記事
現在のスパイ活動、人との接触はいまだ重要
このコンテンツが公開されたのは、
今から数年前、米中央情報局(CIA)捜査官数人がジュネーブで、ある1人の銀行員を泥酔状態にさせ、そのうえで車を運転するよう説得した。そそのかされた銀行員は結局、警察に捕まってしまった。しかしその後、CIA捜査官らは銀行…
もっと読む 現在のスパイ活動、人との接触はいまだ重要
おすすめの記事
スイス秘密情報機関のスパイ合戦
このコンテンツが公開されたのは、
銀行顧客情報が収められたCDを調達したのは、これらの秘密情報機関だった可能性があるという。 極右、極左、サイバー攻撃の増加 報告書は、その具体的な理由については触れていない。単に、外国の秘密情報機関がコンピューターを利…
もっと読む スイス秘密情報機関のスパイ合戦
おすすめの記事
スイス連邦国防省、ハッカーの標的に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦国防省および国営兵器製造会社「ルアク(RUAG)」が1年以上前からサイバー攻撃を受けていた可能性があることに関して同省は4日、サイバー攻撃の存在はすでに今年1月に知っていたと認めた。
もっと読む スイス連邦国防省、ハッカーの標的に
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。