外国から国境を超え、スイスの会社に通勤する人の数は近年着実に増え、現在は31万2000人強。越境労働者に発行されるGタイプの滞在許可証保持者は今日、スイスの労働者全体の6%を占める。
このコンテンツが公開されたのは、
越境労働者はスイス北西部、フランス語圏レマン湖周辺、イタリア語圏のティチーノ州に集中。被雇用者と自営業者の両方を含む。
越境通勤者は、週に最低1度は国外の居住地に帰らなければならない決まりになっている。
近隣国の永住権を持つ第三国の国籍保持者にも、Gタイプの滞在許可証を取得する資格がある。しかし、仕事や職業を変更する際は許可が必要。
スイスに住んでいない労働者は除外規定を申請しない限り、本人と扶養家族の医療保険に加入しなければならない(スイスでは医療保険加入は義務)。詳細は連邦内務省保健局のサイト外部リンク(独/仏/伊/英語)へ。
2002年にスイスと欧州連合(EU)間の労働者の自由な移動を認める協定が発効し、国境地域のスイスの雇用者は越境労働者に慣れている。専門資格の相互承認、源泉課税の免除、社会保険制度の調整などの制度も整う。
ただ、2014年2月の国民投票では外国人労働者数の制限を求めた「大量移民反対イニシアチブ」が僅差(きんさ)で可決。越境労働者の人数制限と手続きの煩雑化が危惧(きぐ)されたが、連邦議会はその後、投票内容を緩和した妥協策を講じた。
妥協策では、会社が新しく人を雇う場合はスイス国内の居住者を優先しても良いとした。ただし家族経営の会社は例外で、優先ルールが適用されるのは失業率が平均を上回る部門や地域に限定される。
EUまたはEFTA(欧州自由貿易連合)圏内の出身者で、スイスに居住して働く人については、連邦移民事務局のサイト外部リンクの関連セクションに国籍別の情報が掲載されている。
続きを読む
おすすめの記事
求められる高資格労働者 労働力不足への解決策は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは高資格労働者への需要が高いが、こうした人材を雇用するのは難しいとされる。では、労働市場のニーズに応えるにはどうしたらよいだろうか?政治に対する考えが異なる専門家3人に、それぞれの解決策を聞いた。
マグダレーナ・マルトゥロ・ブロッハー氏:教育および研修
マグダレーナ・マルトゥロ・ブロッハー氏は、同族経営企業「エムスケミー」の最高経営責任者(CEO)を務める傍ら、グラウビュンデン州議会議員を兼任する。また、反移民を掲げるスイス最大与党の国民党に所属し、父クリストフ・ブロッハー氏は同党の策士として名高い。そんな彼女は当然、国民党の方針に忠実かと思われるが、同企業のCEOとして2014年に国民投票で可決された大量移民反対イニシアチブ(国民発議)の影響をもろに受けている。このイニシアチブを立ち上げたのは国民党だった。
もっと読む 求められる高資格労働者 労働力不足への解決策は?
おすすめの記事
薄れるスイスの魅力 移民規制案の影響か?
このコンテンツが公開されたのは、
大手銀行クレディ・スイスとUBSが毎年行っているリサーチによると、外国企業にとってスイス国内で最も魅力的な立地はツーク州だ。他を引き離し同州が首位に立った理由には、魅力的な税制、高度人材の確保のしやすさ、交通の便の良さ…
もっと読む 薄れるスイスの魅力 移民規制案の影響か?
おすすめの記事
ジュネーブへの移民労働者の増加 その背景は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部の都市ジュネーブには2014年、約8300人の新住民が流入した。その多くが労働目的の外国人だ。これは1960年代以来、最大の人口増となる。どのような人々が、どんな目的でやってくるのだろう?新住民に話を聞いた。
もっと読む ジュネーブへの移民労働者の増加 その背景は?
おすすめの記事
スイス政府、移民規制案の実施計画を発表
このコンテンツが公開されたのは、
右派の国民党が提出し、昨年2月9日に可決された移民規制案は、「スイスに滞在する外国人の上限を定め、国別に滞在許可を割り当てること」を憲法に盛り込むというもの。 シモネッタ・ソマルーガ連邦大統領兼司法警察相は11日の会…
もっと読む スイス政府、移民規制案の実施計画を発表
おすすめの記事
スイス、移民の人数制限に関する政府案発表
このコンテンツが公開されたのは、
このイニチアチブの可決は、政府に大きな難題を投げかける結果になった。なぜなら、スイスは欧州連合(EU)との間で働く場所と居住地の自由化を定めた「第1次2者間協定」を結んでいるため、EU出身の外国人でスイスの企業と有効な…
もっと読む スイス、移民の人数制限に関する政府案発表
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。