4年ぶり、不動産バブルの危険度が下がる
スイスで不動産バブルがはじける危険度が下がった。スイスの最大手銀行UBSが発表している不動産バブル指標は今年第2四半期、予想に反して0.95ポイントから0.82ポイントに4年ぶりに下がった。しかし、安心するにはまだ早い。
UBSは8月3日、次のようにコメントした。「この後退は市場がわずかに落ち着いたことを示すもので、動向の変化を予兆しているわけではない。不動産市場は今後もブームが続くだろう。ほかと比べて特に価格が高い地域では、前期も急騰が続いた」
そのトップにいるのがチューリヒとその周辺の地域だ。年間成長率の平均は9%近くで、2009年以降ほかの地域と大きく水をあけている。ジュネーブとローザンヌでも不動産価格が急騰している。
一方で、バブルがはじける可能性がある危険地域の数は減少した。バーゼルでは工業地域ウンテレ・バーゼルビート(Untere Baselbiet)、ベルンでも保養地グシュタード(Gstaad)の一帯が危険地域から脱した。だが、UBSは今後も両地域をじっくりと観察していくつもりだ。
市場がわずかに冷却した理由は、主に売却価格の低下にある。分譲マンションは1.6%、一戸建ては0.5%と、それぞれ前期より売却価格が下がった。「収入の増加や消費者価格の停滞と合わせ、これが部分的に第2四半期の上昇傾向を抑えた」とUBSは分析している。
価格上昇の減速
だが、それでも状況が一転することはないようだ。UBSのエコノミストはその理由として、住宅購入に関する空前の好条件がそろっていること、人口が急成長していること、内需がしっかりしていることを挙げている。
「7月初旬から適用となった、新しい住宅ローンの利用条件が、マイホームの需要を抑える可能性はある。次期の価格成長率はもう少し低くなるかもしれない」とUBS。7月には、住宅ローン市場の過熱を抑えるために、借入者の自己資金最低額などが新たに定められた。
UBSは5月初旬、第2四半期も不動産バブル指標は1ポイントを上回り、リスクゾーンに踏み入るのではないかと予測していた。
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