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オリガルヒ資産の没収はスイス刑法第72条が適用可能

Mark Pieth

スイスは凍結したオリガルヒ(新興財閥)の資産をウクライナ再建費用に充てられるのか?スイスの腐敗防止専門家であるマーク・ピエト教授(刑法)は「可能」だと考える。根拠とするのは、マフィア資産の没収を想定した刑法第72条だ。

連邦閣僚のイグナツィオ・カシス氏は1月、スイスはロシアのオリガルヒ資金を没収し、ウクライナの復興費用として譲渡することが確実に可能だと発言し、スイスの銀行業界に衝撃を与えた。

それ以来、スイスのメディアは法的な可能性について議論しているが、財産権の保障に違反するため没収は不適切という結論が大半だ。

こうした議論は、1994年以来のスイス刑法が極めて重要な手段を備えているという事実を見落としている。刑法第72条は「犯罪組織が処分権限を持つ」資産は完全に没収されると規定する。興味深いのは、同条第2項で立証責任が転換されている点だ。「犯罪組織に参加または支援した人物に属する資産の場合(第260条の3)、反証されるまで組織が処分権限を持つと推定される」。この没収規定が財産権の保障に違反しないことは明らかだ。

この特別な規定は、主にマフィアの資金を想定して定められた。だが忘れられているのは、連邦裁判所が2005年にナイジェリアの元国家元首サニ・アバチャ氏の横領資産を没収する際に同項を適用したという事実だ。

アバチャ氏の子孫は資産を合法に獲得したことを証明できなかったため、その大半は没収され、ナイジェリア国民に返還された。

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スイスの法律では、没収資金で犯罪の被害者を救済することが可能だ。それができない場合や被害者が望まない場合、没収された資産はスイス国庫に納付される。使い道に制限はないため、ウクライナの再建にも充てられる。

ロシアに関して言えば、侵略戦争を開始して国際法に違反した国家は「ならず者国家」として罪を問える可能性がある。

国際法から見れば、たとえ犯罪を行う国家でも免責の特権を持つ。だがアバチャ事件で重要なのは、サニ・アバチャ氏が犯罪政権を樹立したことだ。つまりプーチン氏とその取り巻きを犯罪組織と位置付ければ、戦争資金を提供するオリガルヒは、マフィアの手下に相当する協力者というわけだ。

特に留意が必要なのは、刑法第72条が没収の可否を司法のさじ加減に任せていない点だ。同条は「裁判所が命じる」と明記する。つまり合法性の原則に従っているのだ。

もちろん個々のケースについては、オリガルヒに戦争を支持する意思が実際にあるのか、その資産が経済的に不当な政権の支配下に置かれているのかといった点を中心に精査する必要がある。

だが、単に金融業界に悪影響を与えるからという理由で刑法第72条を軽視するのは間違っている。

ドイツ語からの翻訳:ムートゥ朋子

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