売りに出されたカナダのスイス村 在外スイス人が保護活動
かつてスイス人山岳ガイドが住んだ場所として知られ、現在売りに出されているカナダ・ブリティッシュコロンビア州ゴールデンのエーデルワイス村。この村の歴史的価値を守ろうと、在外スイス人2人が保護活動を始めた。
その1人、ヨハン・ロデュイさんは、自身らの計画は色々な意味でユニークだと自負する。ロデュイさんは、世界の在外スイス人協会の代表者で構成する在外スイス人評議会のメンバーを約1年前から務める。
ロデュイさんは「まず、地元カナダとスイスの国際的なキープレーヤーを集めたい。2つ目に、村を購入するための大規模な国際クラウドファンディングキャンペーンを展開する。3つ目は、文化と観光が交わることのできる持続可能なプロジェクト立ち上げを視野に、クラウドソーシングを通じてコミュニティからあらゆるアイデアを募る」と話す。
>>エーデルワイス村の売却を報じるswissinfo.ch日本語版の記事
家の運命は国際的な話題に
エーデルワイス村は、スイス人山岳ガイドとその家族が暮らした集落だ。1900年頃、カナダ太平洋鉄道(CPR)は、周囲に数多くある難易度の高い山々に観光客を呼び込むため、スイス人ガイドをカナダのブリティッシュコロンビア州に雇い入れた。
エーデルワイス村の販売価格は230万カナダドル(約2億1千万円)。村の行く末は、地元住民のみならず国際的な注目も集めている。地元の博物館は、村が売却されれば国内で数少ない歴史的家屋だけでなく、ゴールデンの歴史の大事な1ページも失ってしまうと気をもむ。
ロデュイさんと保護活動に乗り出したイローナ・スパーさんも考えは同じだ。スイスとカナダの貴重な歴史の一部を保存するため、エーデルワイス村を救わなければならない、と感じている。「Swiss Guides外部リンク(仮訳:スイス人ガイドたち)」の著者でもあるスパーさんは「ゴールデンのエーデルワイス村は、カナダの山岳文化が生まれた場所では最も重要なものの1つ。現在と未来の世代のために保存しなければならない」と語る。2人は村を救うための大規模な戦略を立て、ウェブサイト外部リンクを立ち上げた。
「保存は我々の義務」
ロデュイさんはカナダで暮らすスイス人として、このユニークな文化遺産を救う道徳的責任があると信じている。また、ロデュイさんとスパールさんは、スイスとカナダのヘリスキーのパイオニア、ルディ・ゲルチ外部リンクさんの協力を取り付けた。
ゲルチさんは、エーデルワイス村のスイス人山岳ガイドと個人的に知り合えたのは幸運だったとし「私を自分の孫のようにかわいがってくれた」と当時を懐かしむ。カナディアンロッキーでの登山に対する彼らの貢献度は非常に高いと言い「彼らの村を存続させるのは我々の義務だ!」と語気を強める。
エーデルワイス村の一件はスイスメディア外部リンクでも報じられた。仏語圏のスイス公共放送(RTS)の映像制作チームは先週、ドキュメンタリー映画制作のためカナダ西部を訪れた。無料夕刊紙ブリック外部リンク電子版(仏語)でも報じられた。
公的機関もスパールさん、ロデュイさんらの活動をサポートしている。在バンクーバースイス総領事のアンドレアス・ルーファー氏は「スイスは、世界的に有名な登山・観光地として知られるこの山岳地帯の発展に貢献してきたことを誇りに思っている」とコメント。同氏も、スイス人山岳ガイドの記憶をカナディアンロッキーに残すべきだと考えている。
▼保護活動を説明した映像はこちら(英語)
(独語からの翻訳・編集 大野瑠衣子)
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