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クレディ・スイス買収報道 英経済紙FTの取材裏話

クレディ・スイス社屋
英日刊紙フィナンシャル・タイムズは、この銀行ドラマの報道をほぼ独占的にリードした © Keystone / Michael Buholzer

UBSとクレディ・スイス(CS)の買収交渉を巡り、フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道は世界をリードし続けた。FTのルーラ・カラフ編集長がフランス語圏のスイス公共放送(RTS)に、取材の舞台裏を語った。

FTは週末にスイスで何が起こっていたのか、リアルタイムの情報を詳しく把握しているようだった。この銀行メロドラマに関する非公表の情報や登場した俳優の役割も掘り下げ、舞台裏をつぶさに語った唯一のメディアだ。21日に公開されたその全容はさながらスリル小説だ。

23日に放送されたRTSの番組「Tout un monde」で、カラフ氏はベールに包まれた取材活動の一片を披露した。

「まず、私たちがフィナンシャル・タイムズであることは注目すべき点です」とカラフ氏は語った。「FTは常にグローバルな銀行、特に欧州銀行をつぶさに取材してきました」「そして近年はクレディ・スイス問題についても綿密に報じてきました」

「いたるところに情報源」

今回のケースについて、カラフ氏は次のように説明する。「UBSとCSに詳しい特派員2人に加え、M&A(合併・買収)担当記者や監督・規制担当記者も取材班に加わりました」

取材班は数日間、昼夜を問わず働いた。「彼らは至る所に、つまり(UBSとCSの)両方に情報源がありました。だからこそ、このような記事を書くことができました」。1つの情報に対して、少なくとも3つの情報源があったという。

21日に掲載された記事は、読者が交渉の場に居合わせているかのような臨場感に満ち溢れていた。その背景にはこうした取材陣の努力があった。

シリコンバレー銀行でも

カラフ氏は記事やジャーナリストを顕彰する。「しかし私たちはCSだけでなく、米シリコンバレー銀行についてもよく報じたことにも留意すべきです」。2月22日の紙面で同行の問題を最初に報じたのもFTだった。「だから私は特に誇りに思っています」

FTは金融を専門とし、そのために大きな投資をしているのには正当な理由がある。「通常、投資が適切であったかどうか分かるのは、大きな危機が発生した時です。今回は非常にうまくいったことがわかり、今後もたくさんのスクープが得られると期待しています」「スイスの銀行に日参することになるでしょう」

結末を予測するのは困難

同紙は現在、今回の危機の影響がどこまで広がりいつまで続くのかを探ろうとしている。カラフ氏は「3つの銀行(シリコンバレー銀行、ファースト・リパブリック銀行、CS)が深刻な問題を抱えていた理由は、まったく同じではありません」と指摘する。

一方で3行には1つの共通点があるとみる。信頼の欠如だ。「時にはあっという間に忘れ去られることもあるだろうし、市場は昨日(22日)からずっと落ち着いていることがわかります。しかし、これで話が終わるとは限りません。金利の上昇で他にも多くの弱い部分が表に出てくる可能性があり、強く警戒し続ける必要があります」

スイス当局のスピード

スイスのイメージやスイスの銀行・金融業界の評判に悪影響を与える可能性について、カラフ氏は慎重な見方だ。

「当局の救済は迅速でした。完璧ではなく、満足していない人もいます」と、カラフ氏は言う。「しかしそうしなければ、市場はもっと混乱していたでしょう」

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仏語からの翻訳:ムートゥ朋子

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