スイス第2の銀行クレディ・スイスでは不祥事が相次いでいる
© Keystone / Michael Buholzer
スイスの連邦刑事裁判所は27日、ブルガリアの麻薬組織がコカイン密輸で得た収益のマネーロンダリング(資金洗浄)を容認したとして、スイスの銀行クレディ・スイス(CS)に200万フラン(約2億8千万円)の罰金を支払うよう命じた。自国の大手銀行が同種の刑事事件で有罪判決を受けたのは初めて。
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裁判所はCSに対し、2007年7月から08年12月にかけて、行員の管理とマネロン防止措置の実施において刑事上の不備があったとした。
同裁判所はまた、ブルガリアの麻薬組織による犯罪収益の資金洗浄を可能にしたとして、顧客担当の元行員1人を有罪とした。麻薬組織がスイスから1900万フラン超を引き出すことができたのは、元行員の行動が寄与していると結論付けた。
検察側は、麻薬組織が04年から08年にかけてコカインの密輸で得た1億4600万フラン(約182億4千万円)相当を、クレディ・スイスを通じて資金洗浄したと主張。CSに対し罰金500万フランの支払いを命じるよう求めていた。
CS側は起訴事実を否認していた。同行は判決を不服として控訴する意向を示した外部リンク。
汚職防止活動に取り組むスイスのNGOパブリックアイ外部リンクは、今回の裁判でCSとスイスの法制度の両方の欠点が明らかになったと指摘。「スイスが自国の金融センターを経済犯罪の巣窟にしたくないのなら、監視体制を強化し、抑止力のある刑罰を導入しなければならない」と述べた。
CSが控訴審で有罪となれば、さらに数百万ドルの賠償金を支払い、不正に得た利益を放棄しなければならなくなる。
スイス発の金融機関ではないが、アブダビの政府系ファンドが所有するファルコン・プライベートバンク(本社チューリヒ)も昨年、マネーロンダリングを防ぐために必要な管理体制の整備を怠ったとして350万フランの罰金支払いを命じられている。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
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