クレディ・スイス銀行(CS)はアントニオ・オルタオソリオ会長の辞任を発表した。新型コロナウイルス感染予防の隔離規制違反を巡り取締役会から内部調査を受けていた。後任にはスイス大手銀UBS出身のアクセル・レーマン取締役が即日就任した。
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オルタオソリオ氏は、「私の個人的な行動のいくつかが当行の混乱を招き、社内外で銀行を代表する能力に影響を与えたことを遺憾に思う」との声明を出し、責任を取って辞任することが同行と利害関係者の利益になるとの考えを明らかにした。
ロイター通信が昨年12月末に内部関係者の話として報じたところによると、オルタオソリオ氏のスイスと英国での違反行為2件に関して内部調査が行われていた。これらの報道について、同行広報担当者はコメントを控えていた。
うちスイスでの違反についてはCSが既に確認していた。同氏は昨年11月末、英国からスイスに帰国した際、当時の規則である10日間の隔離期間を無視し、終了前に出国していた。スイス大衆紙がスクープし、同氏は違反した事実を認め、謝罪に追い込まれた。
先月、ロイター通信の報道により、英国での違反行為の疑いが浮上した。報道によると、オルタオソリオ氏は昨年7月、英国の隔離規則に違反してロンドンのウィンブルドン選手権を観戦した。
「希望の光」
オルタオソリオ氏はポルトガル出身。昨年4月、ウルス・ローナー元会長の後任としてクレディ・スイス会長に就任した。アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用破綻による巨額損失や、グリーンシル・キャピタル関連のファンド凍結を巡る不祥事に見舞われた同行の新たな「希望の光」として立て直しを任されていた。オルタオソリオ氏は会長就任に際し、「リスク管理の重要性を強化し、報酬などについて適切なインセンティブを整え、個人の責任と説明責任を重視する文化を醸成する必要がある」と述べていた。
後任はUBS出身
CS取締役会は、オルタオソリオ氏の後任に元UBSのアクセル・レーマン氏を即日任命した。
CSによると、スイス国籍を持つレーマン氏は経営学の博士号取得者で、昨年10月からはCS取締役会のメンバー兼リスク委員会の委員長を務めていた。複数の学術機関及び非営利団体と関わりがあり、ザンクトガレン大学の客員教授として招聘(しょうへい)されている。
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