スイスの金融大手クレディ・スイスは21日、世界の富裕度を測る「グローバルウェルスレポート2019外部リンク」を発表した。スイスは成人1人当たりの純資産で群を抜き、主要国トップの座を維持した。
このコンテンツが公開されたのは、
2019年6月末時点のスイスの成人1人当たり純資産は56万4650ドル(約6100万円)で、前年に比べ1万7790ドル増えた。
増加幅は米国(前年比1万1980ドル増)、日本(同9180ドル増)、オランダ(同9160ドル)を抜きスイスはトップだった。最も大きく減ったのは2万8670ドル減少したオーストラリアだった。
2000年以降、スイスの成人1人当たりの純資産は2.44倍に増えた。ただこの増加は対ドルのフラン上昇の影響を大きく受けている。特に2001年~2013年はそれが顕著だ。
フラン建てでみると、00~19年の増加幅は45%(平均で年2%)にとどまる。
スイスの純資産の55%は金融資産。英国より若干高く、日本や米国をやや下回る。
スイスの家計債務は平均14万2620ドルで、世界的に見ても高額だ。主な内訳は住宅ローン。負債額は資産額の20%に当たり、2014年の19%からわずかに上昇した。
富の格差
レポートは、富の分布を示した過去のデータが豊富な10カ国を比較し、「過去1世紀にわたり富の不平等の大きな是正が見られなかったのはスイスだけだ」としている。
富の平均値が高く、加えて富の格差が比較的大きいと、スイス人の大部分が世界の富の分布図の上の方に位置づけられてしまう。
世界の富裕層上位1%のうち、1.8%はスイス人だ。「スイスの成人は世界の成人人口のわずか0.1%であることから、この結果は注目に値する」。
スイスの成人の約3分の2は10万ドルを超える資産を持ち、12%が100万ドルを所有する億万長者。1億ドル超の資産を持つ超富裕層はおよそ770人、5000万ドル以上は2200人と推定される。
スイス人は本当に裕福か
2019年9月にドイツの保険大手アリアンツが発表したウェルスレポートでは、スイス人は世界で最も裕福ではないという結果が出ている。
昨年のスイス人の平均金額は17万3438ユーロ(約2093万円)で、米国人は18万4411ユーロだった。
この金額は1人当たりの純資産を測定し、そこから債務の平均値を差し引いた。アリアンツの調査によると、総資産でみればスイスは26万6318ユーロと依然として高く、それに対し米国は22万7364ユーロだった。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス人の大半が金持ちというのは本当か?
このコンテンツが公開されたのは、
「収入が低くて基本的な生活費を払えない人がスイスにもいるという話は本当なのか?」という質問が寄せられた。swissinfo.chが検証する。
もっと読む スイス人の大半が金持ちというのは本当か?
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
続きを読む
おすすめの記事
貧困は「体験」などできない
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインフォは先月、「貧乏生活」をテーマにした記者による体験記ブログを掲載した。フリージャーナリストのグレゴワール・バルベイ氏は、貧乏生活の試みは不適切だったという。貧困は「体験」などできないというのがその理由だ。同氏が自らの経験と考えを綴った。
もっと読む 貧困は「体験」などできない
おすすめの記事
スイスで貧富の差が拡大
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの家庭は全体的に裕福になっているが、貧富の差は広がっているとスイス税務当局は警告する。背景にあるのは低金利と高い役員報酬だ。
もっと読む スイスで貧富の差が拡大
おすすめの記事
スイス労組、2%賃上げ要求 女性には5千円加算
このコンテンツが公開されたのは、
スイス労働組合連合(SGB/USS)は来年度の賃金団体交渉に向け、2%の賃上げと、女性労働者はさらに50フラン(約5400円)引き上げるよう求めている。
もっと読む スイス労組、2%賃上げ要求 女性には5千円加算
おすすめの記事
スイスが解く 富裕税をめぐる謎
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは富裕税に関する興味深い実験場だ。各州政府が自由に税率を定められるためだ。なぜスイスの州は富裕層を呼び込むための税率引き下げ競争をしないのか?
それは筆者が先週スイスを巡ったときの最大の疑問の一つだった。
もっと読む スイスが解く 富裕税をめぐる謎
おすすめの記事
スイス大手行、アジア市場で苦戦
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大銀行にとってアジア市場は欠かせない存在だ。だがそこで成果を上げるのはそう簡単ではなくなった。
もっと読む スイス大手行、アジア市場で苦戦
おすすめの記事
ジュリアス・ベア 野村が持つ日本の富裕層顧客向けに投資一任運用サービス展開
このコンテンツが公開されたのは、
JBGの声明外部リンクによると、野村ホールディングスが、JBGの子会社ジュリアス・ベアウェルスマネジメントに4割出資する。この取引により、ジュリアス・ベアは野村ホールディングスが持つ日本の富裕層顧客向け…
もっと読む ジュリアス・ベア 野村が持つ日本の富裕層顧客向けに投資一任運用サービス展開
おすすめの記事
世界の富裕層が子供を送り込むスイスのサマースクール
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南東部のリゾート地、グラウビュンデン州ラークス。スキーヤーやスノーボーダーのメッカとして知られるが、夏は少年少女の楽園に様変わりする。世界中の富裕層がこぞって子供を送り込むサマーキャンプが開催されるのだ。彼らが3週間で総額8千フラン(約90万円)を喜んで支払うというキャンプの魅力とは?
もっと読む 世界の富裕層が子供を送り込むスイスのサマースクール
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。